人員不足の窮地から「成約率30%」を実現。百年住宅「RC-NEXT」が実践した営業オペレーションDXとは

背景と課題：安定集客の裏で抱えていた「追客」の限界

静岡県に本社を構え、PC（プレキャストコンクリート）住宅で「鉄筋コンクリート住宅着工棟数10年連続No.1」の実績を持つ百年住宅株式会社様 。同社の沖縄県ブランド「RC-NEXT」では、地域柄RC住宅が主流であるため、資料請求などの集客自体は安定的に獲得できていました 。

しかし、その一方で現場は深刻な課題に直面していました。

• 人員不足による追客漏れ
  • 資料請求後のアプローチに手が回らない 。
• 優先順位の不明確さ
  • 熱量の高い顧客を判別できず、全方位への非効率な営業になっていた 。
• ブランド訴求の不足
  • 木造に比べ高単価なRC住宅の魅力を伝えきれず、価格競争で脱落してしまう 。

同社は「成約率30%」と「若手スタッフの即戦力化」をありたい姿として掲げていましたが、現場の営業リソース不足が大きな壁となっていました 。このギャップを埋めるため、ALL GRITを活用した「営業オペレーションのDX化」に着手されました。

解決策：営業DXを実現した「4つ」の仕組み

RC-NEXT様が導入したのは、LINEを活用して顧客対応を自動化・効率化する4つの仕組みです。

(1) 見込み顧客が「自動」でLINE友だちになる導線設計

まず着手したのは、顧客との接点を「電話・メール」から「LINE」へ集約することです。HPからの資料請求や問い合わせの入り口を「LINE」メインに切り替えました 。 あえてLINE登録を行いたくない層のために通常のフォームも残しつつ、LINE登録者限定のメリット（WEBカタログや特典）を訴求することで、問い合わせの大多数をLINE経由に誘導することに成功しています。

成果：メール（開封率20%）に対し、LINEは**開封率60%**を記録。連絡手段が集約され、管理コストが大幅に削減されました。

(2) HOT顧客の「見える化」

限られた人員で成果を出すには、確度の高い顧客への集中投下が必要です。そこで、以下の2つのタイミングで自動アンケートを実施する仕組みを構築しました 。

• 登録直後アンケート
  • 建築予定エリアや時期、土地の有無を確認し、優先度を即座に判定 。
• 初回接客後アンケート
  • 接客や商品説明への満足度、および自社の検討度合い（第一候補、選択肢の一つ、など）を確認 。

これにより、営業担当者は口頭では聞きにくい「本音の検討度合い」を把握でき、次回アプローチの戦略が立てやすくなりました 。

(3) 来場後顧客の「ファン化」自動配信

他社比較中の顧客を引き上げるため、来場後の顧客に対しては、自社の魅力を深めるコンテンツ（製造工程動画、災害シミュレーションCG、施工タイムラプスなど）をステップ配信しました 。

営業担当者が個別に送るのではなく、あらかじめ設定されたシナリオで自動配信されるため、押し売り感なく自然にブランド理解を促進できます。商談中に顧客から配信内容が話題に上がるなど、営業の後押しとなる効果も出ています 。

(4) 長期検討顧客の「囲い込み」自動化

「今はまだ来場しないが、情報収集はしたい」という層に対しては、土地探しのコツや資金計画などの「お役立ち情報」を長期にわたって自動配信するシナリオを設定しました。

これにより、営業担当者の工数を一切かけずに接点を維持し、顧客の検討タイミングが熟した際に自社を選んでもらうための「囲い込み」を実現しました 。

導入成果：安定した集客基盤の確立

ALL GRITによるLINE運用の開始からわずか1ヶ月で、以下の数値を記録しました 。

お友だち登録： 49名
資料請求数： 19件
来店予約数： 9件

その後も毎月50名以上のペースでお友だち追加が継続し、安定的な集客基盤が確立されました 。

特筆すべきは、人材育成面での成果です。 入社1年目は成績が振るわなかった新卒社員の石黒様は、沖縄赴任後にこのデジタル活用を取り入れたことで急成長。2年目には6棟（2億円）、3年目には半期で5棟（年間10棟ペース）を受注し、社内トップクラスの営業成績を上げるまでに成長されました 。

「顧客優先度の見える化」による業務効率化と、「自動追客」によるフォロー品質の均一化が組み合わさることで、経験の浅い若手社員でも**成約率30%**を達成できる環境が構築された好事例と言えます 。