不動産追客で成果を出すには、「初動の速さ」「複数チャネルの使い分け」「中長期案件の仕組み化」の3点が欠かせません。反響があっても、追客の順序や頻度を間違えると見込み客は静かに他社へ流れます。この記事を読めば、反響から媒介獲得までの追客フローが一本の流れとして整理できます。
不動産追客とは何か?売却仲介で必要な理由と基本的な方法
追客とは、反響を取った後に媒介獲得へつなげるための継続的な接触活動を指します。売却仲介の媒介獲得率は、この追客の質と量でほぼ決まります。反響を取るだけでは仕事は半分も終わっていない、と理解することが出発点です。
反響から成約までの"距離"が長い売却仲介の特性
不動産の売却は、問い合わせから実際の媒介獲得まで平均3〜6か月かかるケースが多いです。「査定だけしてみたい」「来年の春くらいに売ろうかな」という温度感で問い合わせてくる売主は珍しくありません。反響の時点では、売主の大半が「すぐに売る気はない」状態です。
買取仲介や賃貸と違い、売却仲介は検討期間が長い。その間に接触が途絶えると、別の会社が入り込んで媒介を取られます。
追客をしないと何が起きるか?失注の典型パターン
追客をやめた瞬間に何が起きるか。現場でよく見られるパターンは3つです。
1つ目は「他社に先に動かれる」パターンです。売主が複数の会社に一括査定を依頼している場合、最初に定期的に連絡をくれた会社に好意を持ちます。
2つ目は「売主の気持ちが冷める前にフォローできない」パターンです。売却動機(離婚・相続・転勤など)が薄れると、検討自体をやめてしまうことがあります。
3つ目は「担当者の顔を忘れられる」パターンです。人は何度も接触した相手を信頼します。反響から3か月後に「あの時の〇〇さんにお願いしよう」と思い出してもらえるかどうかは、追客の頻度で決まります。
追客と「しつこい営業」はどう違うのか
追客を躊躇する担当者がよく言うのが「しつこいと思われたくない」という言葉です。しかし、追客と迷惑な営業には明確な違いがあります。しつこい営業とは、相手の状況を無視して「いつ売りますか」「今すぐ決めてください」と迫ることです。追客とは、売主の検討段階に合わせた情報を適切なタイミングで届け続けることです。「この会社は役に立つ情報をくれる」と感じてもらえれば、連絡は迷惑ではなく「ありがたいもの」に変わります。
追客に使えるチャネルは何があり、どう使い分ければいいのか?
追客で使えるチャネルは電話・SMS・メール・LINEの4つです。それぞれ開封率・即時性・使えるタイミングが異なるため、特性を理解した上で使い分けることが重要です。特にLINEは追客チャネルとして最も優秀ですが、使える条件があります。
電話・SMS・メール・LINEそれぞれの特性
| チャネル | 開封率・確認率の目安 | 特性・注意点 |
|---|---|---|
| 電話 | ― | 即時性最高。不在率も高い |
| SMS | 93.4%が「確認する」※1 | 通知で気づきやすい。登録不要で送れる |
| メール | 約30%※2 | 資料送付向き。埋もれやすい |
| LINE | 平均約55%※3 | 開封率最高。既読確認ができる |
※1 NTTコム オンライン調査(対象:20代以上の男女1,053名)2023年
※2 Benchmark Email「不動産(住宅)分野のメール平均開封率」2026年版
※3 LINEヤフー社・lymcampus「LINE公式アカウント開封率調査」2022年6月
LINEが追客に最も強い理由
4つのチャネルの中で、追客に最も向いているのはLINEです。メールの開封率が不動産分野で約30%程度であるのに対し、LINEはお友達登録者への平均開封率が約55%。さらに「既読」確認ができるため、相手がメッセージを読んだかどうかがわかります。これはSMSやメールにはない特性です。
LINEを使うために必要な条件と、その解決策
お友達登録されていないとメッセージ送信ができない制約がLINEにはあります。そのため一般的には反響直後からLINEで追客することはできず、電話・SMS・メールが初動追客の主軸になります。LINEを追客で使うためには、いかに早い段階でLINEでつながれる仕組みを持てるかが重要になります。
反響直後の初動追客、何が正解なのか?
初回連絡は問い合わせから原則1時間以内、遅くとも当日中が鉄則です。前のセクションで整理した通り、反響直後の主なチャネルは電話・SMS・メールの3つです。まず速さで差をつけ、手段を変えながら接触を重ねることが初動の基本です。
問い合わせから何分・何時間以内に連絡すべきか
反響が届いたら、できるだけ早く動くことが原則です。初回対応体制を見直した不動産会社では接触率が38.2%から63%へ約65%向上したという事例もあります。対応スピードを変えただけで、話せる顧客が1.6倍以上に増えた計算です。
一括査定サイトでは複数の会社が同時に反響を受け取っています。最初に連絡してきた会社が「対応が早い=信頼できる」という印象を与え、その後の追客を有利に進められます。夜間・早朝の反響については、翌営業日の朝一番(9時〜10時)が現実的な初動タイミングです。
(引用元:LIFULL HOME'S Businessの事例報告)
電話・SMS・メールを使った初動の動き方
電話が最優先です。ただし不在が多いのも事実です。電話に出なかった場合は、すぐにSMSで「先ほどご連絡差し上げました。○○不動産の△△です。よろしければ折り返しいただけますか」と送ります。20代以上の男女1,053名を対象にした調査では、SMSを「確認する」と答えた割合は全体の93.4%に上りました。翌日以降はメールで査定事例や会社紹介の資料を送り、電話→SMS→メールと手段を変えながら接触を積み重ねます。
(引用元:NTTコム オンラインの調査)
初回アプローチで絶対に言ってはいけないこと・言うべきこと
初回電話でやりがちな失敗は「いつ売ろうと思っていますか」と単刀直入に聞いてしまうことです。売主はまだ「査定してみたい」段階であることが多く、売却を前提とした質問は圧迫感を与えます。
初回で言うべきことは3つです。「お問い合わせいただきありがとうございます」という感謝の言葉、「まずはお話を聞かせてください」という姿勢の提示、「ご都合のよい日時に机上査定のご説明にお伺いできますか」というアポの打診。いきなり媒介獲得を狙うのではなく、まず「会う機会を作ること」だけを目標にします。
追客の頻度とタイミングはどう決めるのか?
反響後7日以内に最低3回は接触するのが基本です。毎日同じ手段で電話するのではなく、手段を変えながら接触することが重要です。手段を変えることで、相手の負担感を下げながら接触回数を増やせます。
反響後1週間の"基本スケジュール"とは
| 日数 | 手段 | 目的・内容 |
|---|---|---|
| 当日(1時間以内) | 電話 | 問い合わせ確認・ヒアリング |
| 当日(電話不在時) | SMS | 「先ほどお電話しました」一言通知 |
| 翌日 | メール | 査定事例・会社紹介の資料送付 |
| 3日後 | 電話 | アポ打診・温度感確認 |
| 4〜5日後 | SMSまたはメール | 市場情報など有益コンテンツ送付 |
| 7日後 | 電話 | 再アポ打診・次のアクション確認 |
「毎日電話する」ものではありません。手段を変えながら7日間で5回程度の接触を実現するイメージです。LINEのお友達登録が完了している場合は、上記スケジュールと並行してLINEでの追客も追加できます。
連絡間隔を空けすぎると何が起きるか、詰めすぎると何が起きるか
間隔を空けすぎると「他社に奪われる」リスクがあります。一括査定サイトの反響は複数社に同時に届いており、接触が止まった会社より定期的に連絡をくれた会社が媒介を取ります。
逆に詰めすぎると「ブロックされる・嫌われる」リスクがあります。同じ手段(特に電話)で毎日連絡するのは逆効果です。バランスの目安は「週1〜2回、手段を変えながら」です。
中長期の見込み客に対する追客は何をすればいいのか?
「そのうち客」には売却情報や市場動向など、役に立つ情報を定期的に届けることで関係を維持します。3か月以上先の案件でも、接触を止めた瞬間に他社が入ってくるリスクがあります。「いつかお願いしたい」という気持ちを維持させ続けることが中長期追客の目的です。
「今すぐ客」と「そのうち客」で追客の中身を変える理由
今すぐ客(3か月以内に売却意向)は、アポに向けた積極的な接触が有効です。査定結果の提示・競合物件の情報・売り出しタイミングの提案など、具体的な情報を届けます。
そのうち客(3か月〜1年以上先)に同じことをやっても逆効果です。この層には「この会社はいつも役に立つ情報をくれる」という信頼を積み重ねることだけを目指します。
3か月・6か月・1年のフォロースケジュールの作り方
〜3か月:月2回程度の接触。電話1回+LINE・SMS・メールのいずれか1回が基本。近隣の成約事例や相場情報を届けます。
3〜6か月:月1回程度の接触。LINEやメールでの相場情報提供が中心。電話は月1回程度に絞ります。
6か月〜1年以上:2か月に1回程度の接触。固定資産税の通知時期(4〜5月)・お盆・年末など、売主が「そろそろ動こうか」と考えやすいタイミングに合わせて接触します。
有益なコンテンツ送付で関係を切らさない方法
中長期の追客で最も効果的なコンテンツは「近隣の売却事例」です。「お客様のご自宅の近くで、先月○○万円で売れた物件がありました」という情報は、売主が最も知りたいリアルな相場感です。
LINEのお友達登録が完了している売主にはLINEで、登録前の売主にはSMSとメールを組み合わせながらフォローを続けます。他に効果的なコンテンツとして、地元の相場レポート、税制改正や控除制度に関する情報(居住用財産の3,000万円特別控除など【要確認:税制は改正される場合があります。国税庁サイトで最新情報をご確認ください】)、「売り時」に関する市場解説が挙げられます。コンテンツを送る際は「何かご不明な点があればいつでもご連絡ください」の一文を添えると次の接触へのハードルが下がります。
追客を属人化しないためにはどんな仕組みが必要なのか?
追客の質は「担当者のやる気」ではなく「仕組み」で決まります。テンプレート・スケジュール・自動化ツールを整えれば、スタッフのスキルに依存しない追客体制が作れます。「あの担当者がいないと追客が回らない」という状態は、会社としてのリスクです。
担当者によって追客品質がバラつく"3つの原因"
原因①:追客のタイミングが個人の記憶任せ。スケジュール管理がない会社に共通するパターンです。
原因②:2回目以降に何を話せばいいかわからない。初回電話はできても、2回目・3回目のトークが思い浮かばず手が止まります。トークの型がないことが原因です。
原因③:忙しくなると追客が後回しになる。優先順位がルール化されていないと、反響が重なった瞬間に追客は止まります。
追客を標準化するためのトークスクリプト・テンプレートの作り方
最低限用意すべきものは、初回電話トーク(反響当日用)、不在時SMS文面(即日・3日後・7日後の3パターン)、資料送付メール文面(査定事例・市場情報など)、中長期フォロー用LINE・メール文面(月次送付用)の4つです。
テンプレートは「穴埋め式」が原則です。「〇〇様のご自宅周辺で、先日△△万円の成約事例が出ました」のように、物件情報だけ差し替えれば使えるフォーマットにします。
MAツール・自動化で追客をどこまで仕組み化できるか
MAツールを使うと「反響から48時間後に自動でメールを送る」「7日後に自動でSMSを送る」といったアクションをあらかじめ設定でき、担当者が忘れていてもシステムが動きます。人が対応すべき場面(電話・アポ交渉)と自動化できる場面(定期送付・リマインド)を分けることが基本です。
当社がヒアリングした不動産会社では、営業担当者1人あたり月間15件前後が追客の現場相場です。「15件の売り反響を渡して、1件は媒介を取る」という目安で動いている会社が多く見られます。それを超えると取りこぼしが発生するため、自動化ツールでこの上限を引き上げることが重要になります。
追客の成果を上げるために今日から見直せるポイントは何か?
追客のKPIは「接触率(反響数に対して実際に話せた割合)」から始めると改善策が見えやすくなります。記録→振り返り→改善のサイクルを月次で回すことが、成果を出し続けるための基本です。まず「現状を数字で把握する」ことから始めてください。
追客のKPIをどう設定するか
①接触率:反響件数のうち実際に会話できた件数の割合。60%以上を目安にする会社が多く、初回対応体制を見直して38.2%から63%に改善した事例もあります。
②アポ率:接触できた件数のうち査定アポにつながった割合。現場では30〜40%が目安です。これを下回る場合はトークや提案内容に課題があります。
③媒介獲得率:アポのうち媒介獲得につながった割合。まずは自社の現状値を計測することが先決です。最初は接触率だけを追うことをすすめます。
追客記録の残し方とPDCAの回し方
追客の記録は「日時・手段・話した内容・次のアクション」の4点を最低限残します。ExcelやCRMに入力する習慣をつけることが先決です。記録があれば引き継ぎもスムーズになり、担当者が変わっても追客が途切れません。
月次での振り返りは、今月の接触率は何%だったか、アポに至らなかった反響はどの段階で止まったか、来月同じ状況になったときに何を変えるか、の3点を確認するだけで十分です。
よくある質問
Q1:不動産売却の追客は何回まで連絡していいですか?
「断られるまで」が基本の答えです。電話・SMS・メール・LINEとチャネルを変えながら、週1〜2回のペースで接触を続けます。売主から「もう連絡不要です」と言われた時点で止めます。
Q2:追客しても返事がない場合、諦めるタイミングはいつですか?
3か月間、複数の手段で連絡を試みても一切反応がない場合は頻度を落とします。ただし完全には止めず、2か月に1回程度の情報提供は継続します。
Q3:LINEで追客するにはどうすればいいですか?
お友達登録が完了した顧客に対しては、LINEが最も効果的な追客チャネルです。登録前は電話・SMSを主軸にしながら、登録後にLINEへ切り替えるのが現実的な流れです。
Q4:追客が属人化していて、担当者が辞めると顧客との関係が切れてしまいます。どう仕組み化すればいいですか?
まず「追客の記録を会社の資産にする」ことから始めます。日時・手段・話した内容・次のアクションをCRMやExcelに残すルールを作ることが最初のステップです。次にトークスクリプトと送付テンプレートを整備し、「誰でも同じ追客ができる状態」を目指します。
Q5:追客の自動化ツールを使うと、顧客に機械的な印象を与えませんか?
テンプレートの中身の問題です。「〇〇様のご自宅周辺で先日△△万円の成約が出ました」のように相手の状況に合わせた内容であれば、自動送付でも役立つ情報として受け取ってもらえます。自動化は「送るタイミングの自動化」であり、内容の質は人が作ります。
電話に加えて反響直後からLINE追客を実現したい方へ
LINEは開封率・既読確認の面で、追客チャネルとして最も優れたツールのひとつです。しかし一括査定サイトからの反響に対しては、お友だち登録が完了していないため、一般的には反響直後にLINEで追客することができません。
ALL GRITは、一括査定反響をそのままLINEのお友達に転換することが可能です。反響が届いた直後からLINEを追客チャネルとして活用できるようになるため、媒介につながるアポ獲得に大きく貢献します。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年9月1日 |

