電話がつながらない売主も、売却の検討をやめたわけではありません。LINE追客の行動ログを見ると、売主は査定結果を何度も見返し、深夜や2週間後に自分から予約しています。訪問査定だけでなく、店舗相談や短い電話相談といった入口を用意しておくと、そうした売主を相談につなげられます。この記事では、支援先で実際に記録された6つの事例をもとに、売主の動き方と追客のポイントを紹介します。

※本記事は、マンションリサーチ社との共催セミナー「電話に続く『第二の査定アポ』をLINEで獲得する」で、ギバーテイクオール代表の河野が話した内容をもとに再構成しています。事例は、ALL GRITで取得した行動ログと担当者の共有内容に基づきます。

売主にLINEへ登録してもらうまでのコツは、前編「不動産のLINE追客|電話に出ない売主ともつながる2つのコツ」で解説しています。

電話がつながらない売主は、裏で何をしているのか?

価格を確かめ、相談するかどうかを考えています。営業担当から見ると反応のない売主でも、LINEの行動ログには、査定結果の見返しや深夜の申込、時間をおいた再訪が残っています。「電話がつながらない=検討が浅い」とは限りません。

営業担当に見えていること 行動ログから分かったこと
電話がつながらない 査定結果を4回見返している
SMSに返信がない 深夜・早朝に申し込んでいる
メールを読んでも反応がない 14日後に戻ってきて申し込んでいる

電話追客では、「つながったらすぐアポを取る」という考え方が中心です。一方でLINEなら、売主は自分の都合のよい時間に情報を見返し、気持ちが固まったタイミングで予約できます。ここからは、ALL GRITを使う支援先で記録された実際の動きを、事例ごとに見ていきます。

※各事例の時刻・閲覧時間はALL GRITの行動ログ、会社側の対応は担当者の共有内容に基づきます。配信と申込の因果関係は確認されていません。

事例① 初日は申し込まず、14日後に訪問査定を申し込んだ売主

深夜3時台にLINE登録し、初日に査定結果を4回見返したものの、その日は申し込まなかった売主です。約2週間後、自分からフォームに戻ってきて訪問査定を申し込みました。

売主の動き

日時 売主の行動 会社側の対応
8/24 3:17 LINE登録、査定結果を183秒閲覧 査定結果・売却理由の質問を自動で案内
3:22〜3:25 査定結果を再閲覧(153秒)、売却理由に「住み替え」と回答 ―
3:26 申込フォームを264秒見るが、申し込まずに離脱 ―
3:31・10:58 同じ日に査定結果をさらに2回閲覧(初日の閲覧は計4回・532秒) 13:16 担当者が個別に連絡し、売却理由や改修履歴などを質問
8/28 19:15 ― シナリオ配信
9/7 11:30 約2週間ぶりにフォームを再訪(218秒) ―
9/7 11:34 訪問査定を申し込み(登録から14日後) 申込を受付

この事例から分かること:関心を示した売主は、早々に見切らない

初日に申し込みがなくても、査定結果を何度も見て、フォームまで進んでいる売主は関心があります。こうした売主には、2週間ほど経っても相談できる接点を残しておくことが大切です。

電話追客では、つながらない売主は数日で後回しになりがちです。LINEなら、登録から1ヶ月ほどは丁寧にフォローを続けるつもりで動いても、十分に成果が見込めます。

この期間に届けたいのは、売主が判断に使える情報です。

  • 査定価格の見方:概算の価格がどう決まるのか、何を見ればよいのか
  • 売却費用と住み替えの段取り:手元にいくら残るのか、何から始めるのか

売主は不動産の素人です。営業担当には当たり前のことでも、分かりやすく届けることで信頼が積み上がります。検討の段階に合わせて、少しずつ分けて送るのがポイントです。

事例② 電話はつながらなくても、深夜に店舗相談を予約した売主

担当者が何度電話をかけてもつながらなかった売主です。それでもLINE上では検討が進んでおり、深夜0時すぎに自分で店舗相談を予約しました。選んだのは訪問査定ではなく、「お店で相談する」という入口でした。

売主の動き

日時 売主の行動 会社側の対応
9/2 9:54 招待メールからLINE登録 9:55 簡易査定を案内
9:54〜9:57 査定結果を4回閲覧(25秒・45秒・18秒・72秒、計160秒) ―
10:00 売却理由のアンケートに回答 10:10 担当者が連絡し、査定書・近隣事例の送付を案内
9/3〜9/6 次の行動まで数日あく 9/6 19:15 シナリオ配信
9/7 0:01 メニューから店舗・日付・時間を選び、店舗相談を予約(操作開始から2分) 予約を自動で受付
9/7〜9/12 LINEで日時の変更を依頼 LINEで調整し、16時の来店で合意

この事例から分かること:訪問査定だけでなく、店舗相談も選べるようにする

売主が選んだのは「店舗で相談したい(30〜60分・無料)」という選択肢でした。訪問査定は自宅に人を上げるため、売主にとって心理的なハードルが高めです。相談できる店舗を持つ会社なら、「お店で気軽に話す」入口を用意するだけで、予約のハードルを下げられます。

店舗に相談に来ていただければ、話はかなり前に進みます。路面店を持っている会社は、それ自体を強みとして使うべきです。(河野)

店舗相談を案内するときは、次の情報を添えると来店しやすくなります。

  • 店舗の外観と相談スペースの写真:どんな場所で話すのかが分かると安心できる
  • アクセス:2階の店舗など路面店でない場合は、特に丁寧に書く
  • 所要時間と費用:「30分ほど」「無料」と明記する
  • 相談の気軽さ:「話を聞いてみたいだけでも大丈夫です」と伝える

事例③ 売却理由を答えた2分後に、訪問査定を申し込んだ売主

LINEのアンケートで売却理由に「相続・空き家の売却」と答えた売主です。回答に合わせて案内とメニューが切り替わり、回答から約2分後に訪問査定を申し込みました。

売主の動き

日時 売主の行動 会社側の対応
8/11 LINE登録 査定情報を案内、売却理由のアンケートで相談の背景を質問
8/11 12:35 査定結果を確認(59秒) ―
8/12 8:10 翌朝、物件ページを確認(28秒) ―
8:11 売却理由に「相続・空き家の売却」と回答 回答に応じてシナリオとメニューが切り替わり、申込への入口を表示
8:11 申込フォームを閲覧(132秒) ―
8:13 訪問査定を申し込み 申込を受付

この事例から分かること:売却理由を聞いたら、悩みに合う相談へつなぐ

売却理由によって、売主の悩みも送るべき情報も変わります。相続、住み替え、離婚、投資用物件の売却、買取の検討など、理由はさまざまです。LINEに登録してもらったら、まず簡単なアンケートで売却理由を聞きましょう。

大切なのは、回答を集めて終わりにしないことです。回答に合わせて、送る情報と申込の入口を切り替えます。

売却理由 届けたい情報の例
相続・空き家 相続した家を売るか持ち続けるかの判断材料、片付けや売却準備の進め方
住み替え 売却と購入の順番、資金計画、住み替えの段取り
投資用物件 収益と売却価格の考え方、売却のタイミング

アンケートは、タップだけで答えられるボタン形式にすると回答率が上がります。売却理由で配信を分けるのは王道のやり方ですが、売主にしっかり響くポイントです。

売却理由のアンケート回答に合わせて、送る内容とタイミングを切り替えるシナリオ配信の画面

事例④ いきなり会う前に、短い電話相談を予約した売主

会社からかけてもつながらない売主が、「電話相談」なら自分から予約してくれることがあります。この売主は、LINEのメニューから15〜30分の電話相談を選び、希望の日時を指定しました。電話で話したあと、訪問の予定を相談する段階に進んでいます。

売主の動き

時期 売主の行動 会社側の対応
8/5 LINE登録 売却理由のアンケートを送付
登録後 売却理由を回答 相談方法の選択肢を案内(電話相談もメニューに表示)
予約時 「まずは電話で相談したい(15〜30分・無料)」を選択し、8/14を指定 「弊社からお電話します」と明示し、都合のよい日時を選べるよう案内
8/14 希望した日時に電話で相談 ―
相談後 訪問の予定を相談(後日、日程を変更) 訪問日時を提案し、変更の希望にはLINEで対応

※訪問の実施までは確認できていません。

この事例から分かること:「まず15〜30分、電話で相談」も選択肢に

不意にかかってくる営業電話と、売主が自分で予約した相談電話は、売主にとってまったく別物です。会う予定を決める前に、短い電話相談を予約できると伝えるだけで、話せる売主が増えます。店舗を持たない会社には、特におすすめの入口です。

電話相談の案内には、次の情報を入れましょう。

  • 所要時間は15〜30分で、無料であること
  • 会社から電話をかけること
  • 選べる日時と、相談できる内容

タップだけで予約が進む仕組みにする

予約のたびに別のページを開いてもらうと、売主には手間がかかります。ALL GRITの「かんたん予約」は、LINEのトーク画面上で候補日をタップしていくだけで、3タップほどで予約が完了する機能です。電話相談・店舗相談・訪問査定のどれにも使えます。

LINEのトーク画面上で候補日をタップして予約できる、かんたん予約の画面

それでも、いきなり訪問査定を予約してもらうのは難しいものです。訪問査定に加えて、店舗相談や電話相談の選択肢を並べておくと、予約につながりやすくなります。

事例⑤ 個別の問いかけで、他社検討中の売主の本音が見えた

自動のアンケートには答えなかった売主が、担当者からの個別メッセージには返信してくれた事例です。売主はすでに他社で話が進んでおり、比較のために査定を申し込んでいました。今回は他社との取引を続けることになりましたが、価格への迷いという本音を聞き出し、今後も相談できる関係を残せました。

売主の動き

日時 売主の行動 会社側の対応
9/11 16:21 LINE登録 16:26 売却理由のアンケートを自動送付
16:26以降 アンケートには回答なし 16:29 担当者が個別に質問(訪問が難しければ机上査定も可能と案内)
17:05 個別トークに返信。他社で話が進んでおり、比較が目的と判明 ―
17:07 査定結果を確認(35秒) 18:01 いまの売却価格に納得しているかを質問
18:10 価格への迷いを返信 他社で進行中でも、比較材料を提供できると案内
9/12 今回は他社で進める意向を返信 机上査定などを改めて案内し、今後も相談できる関係を残す

この事例から分かること:「いつ会えるか」より、いまの価格への納得を聞く

他社で話が進んでいる売主に「いつお会いできますか」と聞いても、返事はもらえません。この事例で売主が本音を返したのは、次の問いかけでした。

現在お話が進んでいる売却価格については、十分ご納得されておりますでしょうか。

価格に100%納得している売主は、ほとんどいません。「高く売りたい」という気持ちに寄り添う問いかけなので、返信をもらいやすくなります。担当者はそのうえで、「比較材料として査定価格だけ確認しておくことも可能です」と伝えました。他社を否定せず、判断材料を出す姿勢が、今後の相談につながる関係を残します。

公式アカウントからでも「人から届いている感」を出す

個別メッセージは、会社のロゴから届くより、担当者の名前と顔写真から届くほうが返信をもらいやすくなります。ALL GRITには「表示ユーザーの切り替え」機能があり、公式アカウントのまま「担当者名 from 会社名」の形で、アイコンごと切り替えて送れます。

LINE公式アカウントから売主と個別にやりとりできる1to1メッセージの画面

一斉配信のような機械的な印象が強いと、返信率は下がります。会社の仕組みとして個別メッセージを運用するなら、人から届いていると感じてもらえる見せ方まで整えておきましょう。

事例⑥ 深夜に申し込んだあとも、査定結果を見返した売主

23時台にLINE登録し、わずか4分で査定を申し込んだ売主です。注目したいのは申込のあとで、同じ査定結果をその夜と翌未明に2回見返しています。申込で情報収集が終わったわけではありません。

売主の動き

日時 売主の行動
8/28 23:24 LINE登録、査定結果を確認(76秒)
23:26 申込フォームを閲覧(125秒)
23:28 査定を申し込み(登録から約4分)
23:32 申込後、同じ査定結果を再閲覧
8/29 1:15 翌未明に、もう一度査定結果を閲覧(28秒)

この事例から分かること:申込後も、査定結果と判断材料に戻れる入口を

仲介会社が最終的に目指すのは、訪問査定ではなく媒介契約です。申込のあとも売主は価格を気にしているので、見返せる査定結果に加えて、判断材料を届けておきましょう。

  • 近隣の成約事例と価格の根拠:査定額に納得してもらうための材料
  • 売却費用と手取りの目安:実際にいくら残るのかの見通し
  • 面談で分かること:訪問査定で何を確認し、何が分かるのか
  • 会社の強みが伝わる情報:会社紹介の動画など、選ぶ理由になるもの

訪問前に会社の強みが伝わっていれば、面談でも有利に話を進められます。たとえば他社より査定額が少し低くても、「売却スピードに強い会社」と伝わっていれば、「いつまでに売りたい」という売主の希望に応えられる点で選んでもらえる可能性があります。LINEなら、こうした情報を訪問前に自然な形で届けられます。

事例から見える、LINE追客の実践ポイントは?

売主が知りたいことに先回りして答え、無理なく進める次の一歩を用意することです。6つの事例に共通するポイントは、使うツールを問わず次の3つにまとめられます。

売主の状態 用意したい次の一歩
価格を知りたい 査定結果と根拠を、何度でも見返せる形で届ける
まだ売却を決めていない 「相談だけでも大丈夫です」と伝える
今は電話に出られない 文章での質問や、電話相談・店舗相談の予約も選べるようにする

査定結果を起点に、相談まで一本の道をつくる

売主がLINEで動く流れは、次の4段階です。

  1. 査定結果を見る:概算の価格をいつでも見返せる
  2. 相談方法を選ぶ:電話相談・店舗相談・訪問査定から選べる
  3. 申し込む:自分の都合のよい時間に、トーク画面上で予約できる
  4. 担当者と話す:事情を伝え、日時や進め方を相談する

査定結果を見る、相談方法を選ぶ、申し込む、担当者と話す、の4段階をLINEでつなぐ流れ

査定結果を見た売主は、「どうしようかな」と考え始めます。そのタイミングで相談方法の選択肢が目に入り、その場で申し込める状態をつくっておくことが大切です。電話をしないとアポが取れない状態では、深夜や休日に動く売主を取りこぼしてしまいます。

入口は仕組みで受け止め、相談には人が応える

この流れを営業担当の手作業で回すのは、現実的ではありません。査定の案内、アンケート、相談・申込の受付はシステムで自動化し、営業時間外も受け止めます。そのうえで、事情のヒアリングや提案、具体的な日時の調整は担当者が対応します。

仕組みが担うこと 担当者が担うこと
査定結果の案内、売却理由のアンケート 事情のヒアリングと提案
相談・申込の受付(営業時間外も) 具体的な日時の調整
中長期の売主へのシナリオ配信 個別メッセージでの相談対応

自動化と人の対応を組み合わせることで、営業担当の負担を増やさずに、今の売主に合った売却相談の体験を届けられます。すでにLINE追客に取り組んでいる会社も、この3つのポイントを自社の流れと照らし合わせてみてください。

よくある質問

QLINEに登録した売主には、どのくらいの期間フォローを続けるべきですか?

事例①のように、登録から2週間後に申し込む売主もいます。査定結果を何度も見るなど関心を示した売主には、少なくとも1ヶ月ほどは接点を残しましょう。すぐに動かない売主は、シナリオ配信で中長期のフォローに切り替えます。

Q店舗がない会社でも、訪問査定以外の入口はつくれますか?

つくれます。事例④のように、15〜30分の電話相談を予約できるようにするのがおすすめです。売主が自分で日時を選んだ電話なので、不意の営業電話より話を聞いてもらいやすくなります。

Q売却理由のアンケートは、どんな項目を用意すればよいですか?

住み替え、相続・空き家、離婚、投資用物件の売却、買取の検討などが代表的です。タップだけで答えられるボタン形式にし、回答ごとに送る情報を切り替えられるようにしておきます。

Q他社で話が進んでいる売主にも、連絡してよいですか?

他社を否定せず、比較材料として査定価格や根拠を提供する形なら問題ありません。事例⑤のように、今回は契約に至らなくても、価格への迷いを聞けたことで今後も相談できる関係を残せます。

一括査定の反響を、LINEでの追客までつなげるには?

ALL GRITは、不動産売買仲介会社向けの追客ツールです。
一括査定サイトの反響を自動で取り込み、SMS・メールでLINEの友だち登録を案内します。登録後は、売却理由のアンケートやシナリオ配信、かんたん予約、担当者名での個別メッセージまで、LINE上で一貫して対応できます。
売主の行動ログも確認できるため、関心の高い売主への架電にも役立ちます。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年10月12日