不動産売却の媒介契約が取れない営業の多くは、顧客への接触タイミング・信頼構築の深さ・提案の根拠が不足しています。査定だけで終わらず、売主の本当のニーズを引き出し、他社との違いを明確に伝えることが、媒介獲得率を上げる最短ルートです。
不動産会社が「媒介が取れない」と感じるのはなぜか?
媒介が取れない根本原因は、査定依頼を受けても売主が「この会社に任せよう」という判断に至らないことです。信頼と確信の両方が不足しているため、競合他社に流れてしまいます。
査定後のフォローがターニングポイント
訪問査定を終えた後、売主の気持ちはまだ固まっていないことがほとんどです。この段階での接触頻度と質が、媒介獲得率を大きく左右します。
一括査定サイト経由の反響1,000件を追跡した調査では、実際に売買成約まで至ったのは283件(28.3%)でした。査定を受けた売主の7割以上が、どこかの段階でプロセスから離脱しているということです。
(引用元:LIFULL HOME'S「競合に勝つ!一括査定の長期追客に関するセミナーレポート」)
売主との信頼関係が成立していない状態
媒介が取れない営業の多くは、売主と「査定をした」という関係止まりです。売却理由・時期・希望条件を深掘りしていないため、次の接触が「また営業か」という印象になります。売主は「話を聞いてもらえた会社」に媒介を任せます。
他社との比較を避けられていない
246名対象を対象とした売主が不動産会社を選ぶうえで重視したことの1位は「実績が豊富なこと」(37.0%)、2位は「エリア・周辺環境に詳しいこと」(32.9%)でした。査定額の高さは4位(27.2%)で、実績と地域への精通が重視されています。
比較される状況で、実績と地域知識を示せない営業は価格だけで判断されて終わります。
(引用元:アットホーム株式会社「マンション売却に関する実態調査」)
媒介獲得率の低い営業に共通する失敗パターンとは何か?
媒介獲得に失敗する営業は、①売主のニーズ把握、②提案の根拠、③フォローアップの頻度——このいずれかが欠落しています。特に初回接触の遅さと提案内容の薄さが、失敗の大半を占めます。
売却理由や時期のヒアリング不足で提案がずれている
「いつ頃売りたいか」「なぜ売るのか」を聞かないまま査定額を提示する営業は、売主のニーズと提案がずれています。「3ヶ月以内に現金化したい」という売主に「半年かけて高く売る戦略」を提案しても響きません。机上査定の段階から、ヒアリングを丁寧に行うことが出発点です。
査定結果の説明で「数字」だけを伝えている
査定額だけを提示して「よければ媒介契約を」という営業は、売主に決め手を与えていません。「なぜこの価格か」「どの媒体でどう売るか」という根拠と戦略がセットでなければ、他社と比較されたときに印象が残りません。
売主がマンション売却時に「不動産会社に教えてもらって良かったこと」の調査(409名対象)では、「売却にかかる諸費用」が53.8%で1位でした。費用の根拠まで丁寧に説明する営業が、信頼を得ています。
(引用元:アットホーム株式会社「マンション売却に関する実態調査」)
最初の接触から次のアクションまでの間隔が長い
一括査定サイトからの反響は、時間が経つほど競合他社に先を越されます。ある不動産会社では、初回対応体制を見直した結果、反響後の接触率が改善前の38.2%から63%に上昇しました。初回対応のスピードが、そのまま媒介獲得率の差に直結します。
(引用元:LIFULL HOME'Sの事例報告)
媒介を取るための営業プロセスはどう設計すべきか?
「査定時の深いヒアリング→素早い初回接触→根拠のある提案」の3ステップを仕組みとして回し、誰でも再現できる状態を作ることが先決です。
査定段階で売主の潜在ニーズを言語化する
査定の場では、価格の話だけでなく売主の状況を丁寧にヒアリングします。最低限確認すべき項目は以下の4点です。
- 売却を検討し始めたきっかけ
- 売却希望時期(具体的な時期)
- 売却後の住まいの見通し
- 他社への査定依頼状況
これらを把握することで提案のズレがなくなり、「この会社はちゃんと話を聞いてくれる」という印象を売主に残せます。
反響後24時間以内の接触で信頼を作る
一括査定サイト経由の反響では、スピードが命です。通電率の目標は70%で、反響から1分以内に電話をかけることが推奨されています。訪問査定への移行率は25%、訪問査定から媒介取得率は60%を目指すことが目安とされています。
目標の通電率は70%ですが、通電できなかった売主への追客手段が限られることは、多くの会社に共通する課題です。電話以外の追客チャネルを持っているかどうかが、その後の媒介獲得率の差になります。
(引用元:公益社団法人 全日本不動産協会「一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」月刊不動産2019年7月号)
媒介提案時は根拠のある価格と売却戦略をセットで示す
提案書には「査定額の根拠」「売却活動の具体的な方法」「想定スケジュール」の3点を盛り込みます。売主が期待している情報は諸費用の説明や査定の根拠であり、これをしっかり伝えられる営業が信頼を勝ち取ります。
競争力を持つには、どんな営業戦略が必要か?
他社より速く対応し、定期的に接触を続け、地域での認知を作ることが競争優位性につながります。一括査定サイトで売却を検討する売主の多くは、平均3社程度に同時依頼しています。最初の印象で選ばれなければ、次のチャンスはありません。
(引用元:公益社団法人 全日本不動産協会「一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」月刊不動産2019年7月号)
地域密着型の情報発信で「この会社に任せたい」を作る
売主が不動産会社を選ぶうえで重視したこと(246名対象)2位は「エリア・周辺環境に詳しいこと」(32.9%)です。地元の取引実績や売却事例を定期的に発信することで、売主候補の頭に「あの会社が詳しい」という認識が生まれます。一括査定サイトで複数社に依頼した売主が「この会社を指名したい」という状態を作ることが、競合との差別化の核心です。
(引用元:アットホーム株式会社「マンション売却に関する実態調査」)
他社より速く丁寧に対応することが差別化になる
売主が重視する「スピーディーに査定を出せること」は、246名の16.3%が選んでいます。電話が繋がらなかった場合でも、すぐにSMSで「先ほどご連絡しました」と一言入れるだけで対応の丁寧さが伝わります。小さな対応の積み重ねが、大手との差別化につながります。
LINEやメール自動追客で接触を逃さない
顧客管理をしていないと回答した不動産会社は62%に上ります。追客の仕組みがなければ、査定後に売主との接触が途切れ、他社に流れます。LINEやメールの自動追客を導入することで、営業担当者が電話対応に追われている間も、売主への接触を維持できます。
(引用元:LIFULL HOME'S「競合に勝つ!一括査定の長期追客に関するセミナーレポート」)
媒介獲得率を実際に改善するには、何から着手すべきか?
属人的なスキルに頼らず、プロセスの標準化と追客の自動化で再現性を高めることが、改善の出発点です。
営業ステップごとの「やることリスト」を統一する
媒介獲得率の高い会社では、①反響後の電話タイミング、②訪問査定での質問項目、③提案書のフォーマット——それぞれを標準化しています。担当者が変わっても同じ品質の営業ができる状態を作ることで、チーム全体の獲得率を底上げできます。
自動追客ツールの導入で、営業時間外の反響を逃さない
LINEやメール配信を組み合わせた追客フローを設計しておけば、定休日・夜間の反響でも即時追客が可能になり、担当者不在時の接触頻度を維持できます。
自動追客MAツールを導入した場合の成果事例(自社実績データ)
※以下は、当社が提供するLINEを主軸とした自動追客MAツール「ALL GRIT」の導入前後の比較データです。第三者機関による検証ではなく、導入企業の実測値をもとにしています。
3社の訪問査定アポ獲得数の比較です。
| 会社 | 反響数/月 | 導入前 | 導入後 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 T社 | 130件 | 22件(17%) | 30件(23%) | +136% |
| 千葉県 H社 | 80件 | 16件(20%) | 20件(25%) | +125% |
| 広島県 G社 | 80件 | 12件(15%) | 19件(24%) | +158% |
(引用:ギバーテイクオール株式会社「LINE自動追客エージェント ALL GRIT」)
自動追客MAツールを導入したことで訪問査定アポ数が最大158%に上昇しました。
このように、反響を取りこぼさない仕組みを整えることで、査定アポ数に影響し、その結果その先にある媒介獲得にもつながると言えます。
※ALL GRITは売買仲介特化の自動追客ツールです。反響直後からLINE追客を実現したい方へ。⇒ALL GRITのサービス資料をダウンロードする
顧客層によって、営業アプローチは変えるべきか?
紹介客と一括査定サイト経由の反響では、売主の検討温度・競合状況・接触タイミングがまったく異なります。同じアプローチを使い回すと、どちらでも中途半端な結果になります。
紹介客は信頼構築済みで競合比較になりにくい
売主が不動産会社を見つけた経緯(409名対象)では、「家族・友人の紹介」は12.5%でした。一方で紹介客はすでに「信頼できる人から薦められた会社」という前提があるため、競合と並列比較されにくい状態です。そのため提案の丁寧さと査定の精度が決め手になります。既存顧客へのフォローと紹介の仕組みを整えることが、最も費用対効果の高い媒介獲得ルートです。
(引用元:アットホーム株式会社「マンション売却に関する実態調査」)
一括査定サイト経由の反響は時間勝負
売主が不動産会社を見つけた経緯の2位は「一括査定サービス」(16.4%)です。この経路では売主が複数社に同時依頼している状態であり、反響後の接触が遅れるほど他社に先を越される確率が高まります。スピードと接触頻度の両方を担保する仕組みが不可欠です。
媒介が取れない営業 vs 取れる営業 行動比較
| 項目 | 取れない営業 | 取れる営業 |
|---|---|---|
| 反響後の初回接触 | 2〜3日後 | 当日〜24時間以内 |
| 売主ニーズのヒアリング | 価格の話のみ | 売却理由・時期・状況を深掘り |
| 提案内容 | 査定価格のみ | 価格+売却戦略+諸費用の根拠 |
| 追客の頻度 | 月1回程度 | 週2〜3回(仕組みで自動化) |
| 地域への実績訴求 | なし | 取引実績・エリア情報を発信 |
| 顧客管理 | 62%がしていない | CRM・LINEで仕組み化 |
よくある質問
Q査定時点で「他社にも査定依頼している」と言われた場合、どう対応すべきですか?
競合他社の話をしてくれた時点で、売主はある程度本音を話せる状態です。「比較していただくのは当然です。その上で私たちが選ばれる理由をお話しします」と返すことで、提案の機会に変えられます。他社を否定するのではなく、自社の実績と売却戦略で差をつけに行くことが、ここでの正しい動き方です。
Q営業人員が少ない中小の不動産会社が媒介獲得率を上げるには?
人が少ないほど、追客の仕組み化が先決です。全顧客に同じ頻度で手動接触するのには限界があります。メールやSMSの自動送信を使い、担当者の手が届かない時間帯でも売主との接触を維持する仕組みを作ることが、現実的な改善策です。
QLINEやメールの自動追客は媒介獲得に効果がありますか?
効果はあります。ただし、自動追客はあくまで「接触機会を逃さない」ための仕組みです。画一的なメッセージだと「流れ作業で送ってきた」という印象を与えてしまいます。売主の状況に合わせたメッセージを設計した上で自動化することが前提です。
Q地域の競争が激しい場合、小さな会社が優先すべきことは?
まず「既存顧客からの紹介」を仕組み化することです。紹介客は競合比較になりにくく成約率が高いため、少ない人員でも効率よく媒介が取れます。同時に、一括査定サイトの反響に対する初回接触のスピードを徹底することで、大手との差を縮められます。
媒介獲得の追客を仕組み化する
媒介獲得率を安定して上げるには、営業プロセスの標準化と追客の自動化が不可欠です。
ALL GRITは、一括査定サイトからの反響に対してLINEの自動追客を実現するMAツールです。定休日や営業時間外の反響でも、担当者が動かずに追客を始めることが可能です。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年9月11日 |

