不動産売却の見込み客ランク分けは、売却時期を軸に、売却理由・名義・査定方法・連絡への反応を加えた5項目で決めます。
Aランクには当日中に訪問査定を提案し、B・Cランクは自動追客で売却時期まで関係を保ちます。
この役割分担で、少ない営業の人数でも媒介獲得の取りこぼしが減ります。

不動産売却の見込み客ランク分けとは?なぜ必要なのですか?

売却の見込み客ランク分けとは、査定依頼の売主を「売る確度と時期」で分けることです。
目的は、訪問査定に行く順番と追客のやり方を決めることです。
全件に同じ熱量で対応すると、急いでいる売主への初動が遅れます。

査定依頼の反響は「今すぐ売りたい人」ばかりではない

査定依頼には、すぐ売りたい人も相場を知りたいだけの人も混ざっています。
首都圏で過去1年以内に売却を考えた1,240人のうち、調査時点で売却を終えていた人は38.5%でした。
売却を考えた人の6割以上は、調査時点でまだ売却を終えていません。

(引用元:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

一括査定では、売主は複数社を比べている

売却経験者約3,300人への調査では、査定を依頼した会社数は2〜3社が39.1%で最多でした。
平均は2.5社でした。

(引用元:LIFULL HOME'S「査定を依頼する不動産会社を決めた基準ランキング」)

売主見込み客をABCに分ける判定基準は何ですか?

判定基準は「売却時期」「売却理由」「名義・権利関係」「査定方法の希望」「連絡への反応」の5項目です。
ランクの目安は次の表です。

判定項目 Aランク(訪問査定を即提案) Bランク(関係づくり) Cランク(情報収集段階)
売却時期 3ヶ月以内 3ヶ月〜1年先 1年以上先・未定
売却理由 明確(相続・転勤など期限あり) あるが急いでいない 相場確認のみ
名義・権利関係 名義人本人・共有者も合意 本人だが家族の合意はこれから 未確認
査定方法の希望 訪問査定 机上査定(訪問も可) 机上査定のみ
連絡への反応 当日中に通電・折り返しあり 数日以内に反応あり 電話・SMS・メールで反応なし

Aランク:3ヶ月以内に売りたい名義人本人

売却時期が近く、理由もはっきりしている売主です。
当日中に訪問査定の日程を提案し、他社より先に会うことを最優先にします。

Bランク:売却時期が3ヶ月〜1年先の売主

無理に訪問査定を迫らず、相場の動きを伝えて関係をつくります。

Cランク:相場確認のみの売主

「いくらで売れるか知りたいだけ」という売主はCランクです。
今は売らなくても、数年後の売主になりえるので追客を続けます。

親の家について子どもが依頼した反響も、名義人と話せるまで追客を続けます。

ランク判定に使う情報は、どこでどう集めますか?

判定に使う情報は、反響時の入力内容・初回電話・連絡への反応でそろいます。

反響時の入力内容でわかること

売却の反響の入り口は、一括査定サイト・自社フォーム・電話や来店などさまざまです。
一括査定サイトや自社フォームなら、売主が入力した内容が反響と一緒に届きます。
物件種別・所在地・広さ・築年数のほか、訪問査定か机上査定かの希望もわかります。

加えて一括査定サイトでは、売却理由や売却時期を選ばせるものが多いです。
ただし、項目や選択肢はサイトごとに違います。
電話の前に必ず目を通し、ランクの見当をつけておきます。

自社フォームは、選択肢を自社のランク基準に合わせて作れるのが強みです。
売却時期を「3ヶ月以内」「3ヶ月〜1年」「1年以上・未定」から選ぶ形にすれば、反響の時点でランクがほぼ決まります。
電話や来店の反響は入力内容がないので、その場で下の5項目を聞き取ります。

初回電話で聞くべき5項目

通電したら、次の5つを必ず聞きます。

  1. 売却理由
  2. 売りたい時期
  3. 名義人は誰か、共有者はいるか
  4. 住宅ローンの残りがあるか
  5. 住み替えの場合、購入先は決まっているか

連絡への反応からも判定できる

折り返しの有無や返信の早さ、再度の問い合わせも判定材料になります。

電話がつながらないだけで、ランクを下げてはいけません。
通電するまでは、反響時の入力内容で仮のランクをつけて動きます。
不動産業専門コンサルタントは、反響後3分以内に電話し、1週間で15回かけることを通電の前提にしています。
電話と並行してSMSやメールも送り、どれにも反応がない場合だけCランクに下げます。

(引用元:株式会社レコ「不動産一括査定反響の電話通電率・訪問査定率・媒介受託率目標値」)

売却理由ごとに、ランクと優先度はどう変わりますか?

期限のある売却理由ほど、ランクと優先度は高くなります。
住み替えは、購入先がどこまで決まっているかでランクが大きく変わります。

相続・離婚・転勤・資金需要はAランクになりやすい

これらの理由には、売らなければならない期限があります。
相続なら相続税の申告期限、転勤なら引っ越しの日が決まっています。

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

【要確認:相続税の制度は改正される場合があります。国税庁のタックスアンサーで最新情報をご確認ください】

住み替えは購入先の状況でランクが動く

購入先が決まっていればAランク、探している段階ならBランクが目安です。
購入の進み具合を定期的に確認し、ランクを更新します。

ランク分けを社内の仕組みとして回すには?

判定ルールを1枚にまとめ、営業全員が同じ基準でABCをつけることから始めます。
そのうえで、ランクを反応に合わせて見直し、B・Cランクは自動で追客します。

判定ルールを1枚にまとめ、全員でそろえる

ランクは、まず売却時期で決めます。
相続や転勤など期限のある売却理由があれば、1つ上のランクにします。
残り3項目は、迷ったときの補助です。
このルールと上の表を1枚にまとめ、全員で共有します。

ランクは固定せず、反応で上下させる

Cランクの売主が、ある日いきなり訪問査定を希望することがあります。
返信や再問い合わせをきっかけに、ランクを見直す仕組みにします。
メールの開封やリンクのクリックに点数をつけるスコアリングも、ランクを上げるきっかけに使えます。
点数はABCの判定の代わりではなく、見直しの合図として使います。

B・Cランクは電話・メール・LINEで追客する

B・Cランクまで電話で追うと手が回らないため、自動配信を組み合わせます。
配信の手段はメールが中心ですが、一括査定では複数社のメールが届くため埋もれがちです。
そこで、ふだん使っている人が多いLINEも合わせて使います。
13〜79歳1,800人への調査では、LINEの利用率は91.1%でした。

(引用元:総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)

ただし、LINEは売主にお友達登録をしてもらわないとメッセージを送れません。
一括査定の反響直後は電話番号とメールしかなく、LINEを使えないのが一般的な課題です。
そのため、反響直後からLINE追客したい場合は、ALL GRITのような反響を自動でLINEにつなぐツールも検討します。

※ALL GRITは売買仲介特化の自動追客ツールです。反響直後からLINE追客を実現したい方へ。⇒ALL GRITのサービス資料をダウンロードする

売却見込み客のランク分けでよくある失敗は?

よくある失敗は「Cランクの放置」「記録が更新されない」「査定額だけで勝負する」の3つです。
ランクは追客の手段を決めるもので、追客をやめる理由ではありません。

Cランクを放置し、売却時期に他社に媒介を取られる

今すぐ売らない売主も、将来の売主です。
不動産業専門コンサルタントは、反響総数を母数とした媒介獲得率(媒介受託率)の目標を10〜15%としています。
内訳は1ヶ月以内の媒介獲得が10%、中長期の追客での媒介獲得が5%です。

(引用元:株式会社レコ「不動産一括査定反響の電話通電率・訪問査定率・媒介受託率目標値」)

他社と専任媒介を結んだ売主も、契約期間は最長3ヶ月です。
更新の時期に声をかけられるよう、追客を続けておくことが大切です。

【要確認:宅地建物取引業法は改正される場合があります。e-Gov法令検索で最新情報をご確認ください】

ヒアリング内容が記録されず、ランクが古いまま

記録がないと、売主の状況が変わっても誰も気づけません。
入力は5項目程度にしぼり、通話の直後に入力する決まりにします。

査定額の高さだけで勝負する

高い査定額を出せば媒介が取れる、とは限りません。
2019年に売却経験者1,514人へ行った調査では、会社を選んだ理由は「担当者が信頼できる」が50.9%でした。
「査定額が高い」を理由に選んだ人は7.1%にとどまります。

(引用元:すまいステップ「不動産売却に関するアンケート」)

よくある質問

Q不動産売却で机上査定だけを希望する売主は、見込み客ランクを低くしてよいですか?

いいえ、低いランクとは限りません。
相続や転勤など期限のある理由なら、机上査定の希望でもAランクに近いことがあります。

Q不動産一括査定の反響は、見込み客ランクに関係なくすぐ電話すべきですか?

すぐ電話すべきです。
売主は平均2.5社に査定を依頼しているため、初回連絡は早いほど有利です。
ランク分けは、初回連絡のあとに追客の方法を決めるために使います。

Q不動産売却の見込み客ランク分けは、何段階にするのがよいですか?

ABCの3段階が運用しやすい形です。
段階を細かくするほど判定と入力の手間が増え、現場でランクが更新されなくなります。

反響直後からの追客を、仕組みで回しませんか?

一括査定の反響では、B・Cランクの追客が媒介獲得の差になります。
不動産会社向けMAツールであるALL GRITは、一括査定反響をLINEのお友達に転換し、反響直後から自動追客できます。

「Cランクの追客まで手が回らない」という方は、まずは資料をご覧ください。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年10月2日