不動産仲介会社が休眠顧客から媒介を獲得するには、「問い合わせから3カ月後の自動追客」と「LINEお友だちへの転換」が起点となります。適切な仕組みを整えれば、スタッフの工数を増やさずに媒介獲得数を伸ばせます。以下では、休眠顧客を活性化させ営業効率を高める具体的な手順を解説します。

不動産会社が休眠顧客を見落とし続ける理由とは?

顧客データが社内で分散し、再接触の仕組みがないため、営業スタッフが過去の問い合わせ客に継続的にアプローチできていません。ルーティン業務が優先され、休眠顧客は「誰も担当しないまま」放置されるのが実態です。

顧客データが社内で分散している実態

顧客情報の管理方法は会社ごとにバラバラです。Excel・紙の台帳・SuumoやHOME'Sの管理画面・担当者のスマートフォンなど、複数の場所に分かれて保存されているケースがほとんどです。

500社以上を対象にした調査では、62%の不動産会社が「顧客管理をしていない」と回答しています。データが一元化されていなければ、過去に問い合わせがあった顧客を誰も把握できません。

(引用元:LIFULL HOME'S Business「一括査定の長期追客について」

再接触のタイミングを逃す仕組み

一括査定サイトから反響が入った直後は積極的に追客します。しかし、通電できなかった顧客や机上査定で終わった顧客は、数週間後には忘れられることがほとんどです。

不動産会社294社を対象にした追客の実態調査では、「1カ月おき以上・追客なし・不明」と回答した会社が約20%にのぼります。初期対応が終われば追客もほぼ止まるのが現実です。

(引用元:LIFULL HOME'S Business「不動産会社のメール反響への返信・追客アンケート」

営業スタッフの記憶頼みになっている状況

「あの顧客、そろそろ動く頃かもしれない」という判断は、担当スタッフの記憶と勘に依存しています。担当者が退職すれば顧客情報も消える。異動があれば引き継ぎが漏れる。こうした構造的な問題が、休眠顧客の掘り起こしを難しくしています。

休眠顧客の掘り起こしが不動産会社の利益を左右するのはなぜか?

既存の顧客データベースから掘り起こした顧客は、新規開拓より媒介獲得コストが大幅に低く、すでに検討履歴があるため提案もしやすいからです。データを活かすかどうかが、売上の伸び代を決めます。

新規開拓より既存顧客の方が成約しやすい

新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの約5倍かかるとされます。顧客ロイヤルティ研究の第一人者フレデリック・F・ライクヘルドが提唱した経験則で、多くの業界で参考にされています。

不動産仲介においても、過去に問い合わせがあり自社のことを知っている顧客への提案は、まったく接点のない新規顧客への営業より話が進みやすいです。既存データベースを使わないのは、すでに積み上げた資産を捨てているのと同じです。

(引用元:NTT東日本 BizDrive「1:5の法則とは」

営業効率を高めるにはデータベース活用が必須

一括査定1,000件のうち28.3%で、その後に売買を原因とする所有権移転が発生しています。また、机上査定で着地した顧客の55.46%が「時期が来れば売る」「条件が整えば売る」という意向を持っています。

反響が入った時点では媒介獲得できなくても、半年後・1年後に動き出す顧客は相当数存在します。この顧客に再接触できるかどうかで、媒介獲得コストと獲得数の両方に差がつきます。

(引用元:LIFULL HOME'S Business「一括査定の長期追客について」

スタッフの負担を減らしながら売上を増やせる

手作業で過去顧客をリストアップして電話をかける追客は、営業スタッフの時間を大量に消費します。自動化の仕組みを作ることでスタッフの手が空き、提案件数が増えます。追客を仕組み化することが、スタッフを増やさずに売上を伸ばす現実的な手段です。

顧客データベースから掘り起こすべき休眠顧客の見分け方は?

問い合わせ時の背景・時期・物件への関心度を整理して、購買確度ごとに分類することが効率的な掘り起こしの前提です。全員に同じ対応をしても成果は出ません。

問い合わせ日時と問い合わせ内容の分類方法

過去の反響を整理する際は、以下の情報を基準に分類します。

  • 問い合わせ日時:3カ月以内・3〜6カ月・6カ月以上
  • 問い合わせ内容:売却希望・購入希望・査定依頼のみ・資料請求のみ
  • 対応状況:通電済み・未通電・面談済み・机上査定のみ

この3軸を組み合わせることで、「今すぐ提案できる顧客」と「半年後に動く可能性がある顧客」を区別できます。

購買確度の高い顧客セグメントの抽出

以下は、購買確度と問い合わせからの経過期間を組み合わせた分類と対応方針の例です。

購買確度 0〜3カ月 3〜6カ月 6カ月以上
高(面談済み・売却意向あり) 週1〜2回のアプローチ 月1〜2回の物件情報配信 近況確認の連絡
中(通電済み・検討中) 2週間に1回の連絡 月1回の連絡 四半期に1回の連絡
低(未通電・査定のみ) 再架電を3回まで試行 メッセージで近況確認 年1〜2回の情報提供

この分類をするだけで、限られた営業リソースをどこに集中させるかが明確になります。

時期や季節に応じた再接触ターゲットの設定

不動産の動きには季節性があります。3月・9月の転勤シーズン、年末・年度末などは購入・売却の検討が活発になる時期です。6カ月以上前の反響客でも、このタイミングで連絡を取ると反応が出やすくなります。

また、「当時は資金計画が合わなかった」「子どもの進学前に引っ越したかった」など、ライフステージの変化が動機になるケースも多いです。問い合わせ内容を記録しておくことで、再接触のメッセージを個別にカスタマイズできます。

休眠顧客への再接触はどのタイミングで始めるべきか?

問い合わせから3カ月が経過した時点を目安に、長期追客の仕組みを整え始めることが効果的です。初期の追客が途切れた後も継続的に連絡できる会社が、最終的に媒介を獲得します。

問い合わせから3カ月以降が再接触のゴールデンタイム

一括査定サイト経由の重複案件——同一顧客が複数回査定依頼をする案件——は、2年間で対応した総反響2万2,865件のうち約13%にのぼります。そのうち80.4%が初回依頼から半年以上1年以内に再査定依頼を出しています。

この数字は、一度接点を持った顧客が数カ月後に再度動き出すことを示しています。この再査定依頼を他社に取られないためにも、3カ月以降も継続して接触し続けることが必要です。

(引用元:LIFULL HOME'S Business「一括査定の長期追客について」

ライフステージの変化に合わせたアプローチ

転勤・結婚・離婚・子どもの進学・相続など、ライフステージの変化は不動産の購入や売却の引き金になります。「今すぐは動かない」と言っていた顧客でも、状況が変われば一気に動き出します。定期的な情報提供を続けていれば、変化があったときに自社に相談が来ます。

LINEなどのチャネル活用で接触確度を上げる仕組み

LINE公式アカウントのメッセージ平均開封率は約55%です。住宅・不動産分野のメール平均開封率24.50%と比べても、LINEのほうが届きやすいことは明らかです。

ただし、LINEでメッセージを送るには、あらかじめお友だち登録を完了している必要があります。そのためLINEによる長期追客の仕組みを整えるのであれば、この制約をどうするのかというところから考える必要があります。

(引用元:LINEヤフー社・lymcampus「LINE公式アカウント開封率調査」2022年6月ラクス社「業界別メルマガの開封率とクリック率の目安って?効果測定の正しい方法とは」2024年7月

ALL GRITを導入した会社のLINEお友だち登録率は60〜77%

ALL GRITでは、一括査定サイトから反響が入ると、その顧客にメール+SMSを自動送信し、LINEお友だち登録へ誘導する仕組みを提供しています。

下記はALL GRITの反響からのお友だち転換率です。

会社 登録率
A社(首都圏・売買仲介) 60%
B社(地方都市・売買仲介) 77%

(引用元:ALL GRIT 実績データ)

お友だち登録が完了すれば、その後はLINEで自動追客を継続できます。反響直後の登録誘導から長期フォローまで、一連の流れが自動で完結します。

ALL GRITのサービス資料をダウンロードする

実際に成果が出ている会社が実践している再接触方法とは?

自動化ツールを使って、セグメント別に定期メッセージを配信している会社が成果を出しています。スタッフの判断に頼らず、仕組みで接触を続けられるかどうか——ここが分岐点になります。

自動化ツールで営業スタッフの提案回数を増やす工夫

反響への接触体制を見直し、通知方法をメールからLINE管理ツールに変更した会社では、営業時間内の反響接触率が38.2%から63%に改善しています。接触率の改善は初回通電数を押し上げ、追客できる顧客数を直接増やします。スタッフの数を増やさずに提案件数を増やすには、ツールを使った効率化がその近道です。

(引用元:LIFULL HOME'S Business 事例報告

顧客に響くメッセージ設計と配信スケジュール

休眠顧客への再接触で効果があるのは、「売り込み感のない情報提供」です。たとえば次のようなメッセージが当てはまります。

  • 「〇〇エリアの最新成約価格をお届けします」
  • 「売却を検討される方によく聞かれるQ&A」
  • 「お客様が以前ご関心を持たれたエリアの相場情報」

急かす内容より、タイミングを待つアプローチのほうが長期的な媒介獲得につながります。顧客に「この会社は自分の役に立ってくれる」という印象を与えることが、信頼関係の土台になります。

データ分析で反響を見える化し改善を続ける

メッセージを送りっぱなしにするのではなく、開封率・クリック率・返信率を追って改善を続けることが大切です。「どのメッセージが反応を生んでいるか」「どの時間帯の配信が開封されやすいか」を可視化することで、次の配信精度が上がります。データを見て改善する習慣が、追客の質を高めます。

休眠顧客の掘り起こしを実践する際の注意点は?

個人情報の管理と過剰接触のリスクに注意しながら、現場スタッフが実際に使える運用設計を組み立てることが成功の条件です。

顧客データ管理とコンプライアンスの両立

顧客の個人情報を活用した追客活動は、個人情報保護法の規定に従う必要があります。取得時の利用目的に沿った活用であるか、第三者提供になっていないかを確認してください。

不動産向けCRMや顧客情報を管理するシステムを選定する際も、セキュリティ基準やデータ保存場所の確認が必要です。

一度の接触で終わらせない継続的なアプローチ

休眠顧客が一度の連絡で動き出すことはほとんどありません。不動産会社294社を対象にした調査では、1回の追客より4〜5回以上継続した会社のほうが成約率(調査内の表記。媒介獲得を含む)・来店率ともに高い傾向が出ています。

「返信がなかったからやめる」ではなく、3カ月・6カ月・1年という長いスパンで接触を続ける設計が必要です。

(引用元:LIFULL HOME'S Business「不動産会社のメール反響への返信・追客アンケート」

営業スタッフが実際に使える運用設計が重要

ツールを導入しても、スタッフが使わなければ意味がありません。入力項目が多すぎるCRM、操作方法が分かりにくい管理画面、複雑な配信設定は現場に定着しません。

導入時は「スタッフが日常業務の中でどのタイミングでツールを使うか」を具体的に設計してください。週1回の確認作業として組み込む、反響受信をきっかけに自動でデータが入力される仕組みにするなど、スタッフの手間を最小化する設計が定着率を高めます。

よくある質問

Q休眠顧客といえば、どのくらい期間が経った顧客から対象にすればいいですか?

初期の追客が一段落する3カ月以降を目安にすることをおすすめします。調査データでは、重複案件の80.4%が初回から半年以上1年以内に再査定依頼を出しているため、この時期は特に再接触の効果が期待できます。

Q過去の顧客データが整理されていない場合、どこから始めるべきですか?

まず、現在のデータがどこにあるかを棚卸しすることから始めてください。SuumoやHOME'Sの管理画面、Excel、担当者のスマートフォンなど、全ての保管場所をリストアップします。次に、問い合わせ日時と対応状況だけを一つの表にまとめることから着手します。完璧なデータでなくても、分類できる状態にすることが最初のステップです。

Q再接触時にどんなメッセージを送ると反応率が高くなりますか?

売り込み感を避け、「顧客にとって役立つ情報」を軸にしたメッセージが効果的です。「〇〇エリアの相場が変動しています」「売却のご検討時に役立つ情報」といった、タイミングに合った情報提供から入ることで反応率が上がります。

Q休眠顧客への営業がスタッフの負担になって、反発されないか心配です。実際どうですか?

スタッフが個別に電話・メールで対応する方法では、確かに負担になります。自動化ツールを使ってセグメント別に定期配信を設定すると、スタッフの手を使わずに接触を続けられます。スタッフが動くのは、顧客から返信があった後の提案フェーズに集中できるため、負担感は下がります。

Q自動化ツールを入れても、実際に運用が続かないケースが多いと聞きます。成功の秘訣は?

最初に「誰が何をいつやるか」を決めることです。ツールは機能があっても、運用ルールがなければ使われません。配信内容の担当者・更新頻度・顧客データの入力タイミングを最初に決め、月1回のレビューで改善を続ける体制を作ることが長続きの条件です。

休眠顧客の掘り起こしを自動化する

不動産売買仲介会社で媒介獲得数を増やす最も確実な方法が、過去顧客データの活用です。

ALL GRITは一括査定からの反響をLINEのお友だちに転換し、自動追客で営業スタッフの提案機会を増やすツールです。月1回の物件情報配信、顧客セグメント別の自動メッセージなど、すぐに使える機能で休眠顧客への継続的な接触を実現します。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年8月28日