不動産の追客を外注する費用は、反響対応代行で月5万〜50万円、休眠客の追客代行で月30万〜70万円が目安です。費用を抑えるなら、初回連絡と定期連絡は自動化ツール、売主との深い会話は人が受け持つ分担が基本です。業者は「売買仲介の理解」「母数つきの実績」「自社ルールと法令への対応」の3点で選びます。
なぜ不動産会社は追客を外注しようと考えるのか?
反響直後の連絡と、媒介獲得までの長い追客を、今の人数では回しきれないからです。売主の多くは複数社に査定を出し、1か月以上かけて依頼先を決めます。その間の連絡が途切れると、他社に媒介を取られます。
反響直後の連絡が間に合っていない
反響は営業担当の外出中にも入り、折り返したころには通電しないことがよくあります。
米国の調査では、2,241社に問い合わせを送ったところ、1時間以内に返信したのは37%でした。一度も返信しなかった会社も23%ありました。42社・125万件の問い合わせの分析では、1時間以内に連絡した会社は、それより遅い会社に比べて、決定権のある人と話せた割合が約7倍でした。
(引用元:Harvard Business Review「The Short Life of Online Sales Leads」)
媒介獲得までの追客期間が長い
売却経験者1,002人への調査では、71%が複数社に査定を依頼していました。一方で、媒介契約を1社に絞った人は65%でした。
同じ調査では、売却を思い立ってから媒介契約までに1か月以上かかった人が87%いました。媒介前の連絡頻度は「週1回」を望む人が最も多い結果です。つまり、1か月以上にわたり週1回ほど連絡を続ける追客が求められます。
(引用元:株式会社Facilo「不動産売却の課題と顧客体験に関する調査」)
追客の外注にはどんな方法があり、自動化ツールと何が違うのか?
外注は、代行業者の人が電話やメールで追客する形です。外注以外では、自動化ツールを自社に入れて追客の手間を減らす方法があります。人の代行は深い会話に強く、ツールは反響直後の速さと件数の多さに強みがあります。
代行業者に通電と面談の設定を任せる
反響が入るとすぐに外注先が電話し、通電したら訪問査定の日程を決めます。つながらない売主には、メールやSMSで連絡を続ける業者もあります。人が話すため、売主の事情を聞き出しやすいのが強みです。一方、件数が増えると人手の上限にぶつかります。
自動化ツールで初回連絡と定期連絡を回す
自動化ツールは外注ではなく、自社で使う仕組みです。反響が入った直後に、決めておいた文面を自動で送り、その後も相場情報などを決まった間隔で届けます。24時間動きますが、こみ入った相談には向きません。
連絡手段ごとの違いを知っておく
代行業者の連絡手段は、電話・メール・SMSが中心です。ただ、電話は売主が仕事中だと通電しにくく、メールはほかのメールに埋もれがちです。そこで候補になるのが、文字で気軽に返せるLINEです。LINEの国内月間利用者数は、2025年12月末時点で1億を超えています。
(引用元:LINEヤフー株式会社「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」)
ただし、LINEは売主にお友達登録してもらうまでメッセージを送れないため、登録までの導線づくりが必要です。
表1:外注(代行業者)と自動化ツールの比較
| 比べる点 | 外注(代行業者) | 自動化ツール(自社で使う) |
|---|---|---|
| 初回連絡の早さ | 体制しだい | 最も速い(反響直後に自動送信) |
| 深い会話への対応 | 強い | 弱い |
| 夜間・休日 | 契約内容による | 24時間 |
| 主な連絡手段 | 電話・メール・SMS | メール・SMS・LINEなど(ツールによる) |
| 費用の形 | 月額固定・成果報酬・架電課金 | 月額の利用料 |
追客外注の費用はどのくらいかかるのか?
追客外注の費用は、反響対応代行で月5万〜50万円、休眠客の追客代行で月30万〜70万円が目安です。査定後フォローを成果報酬で頼む場合は、訪問査定アポ1件あたり1.5万〜3万円です。どの形が得かは反響数で変わり、反響対応代行なら月の反響50〜100件が委託の目安です。
業務別の料金の目安
不動産会社向けの営業代行をまとめた記事では、料金の目安を次のように整理しています。何を根拠にした数字かは記事に書かれていないため、見積もりと比べる目安として使ってください。
表2:追客まわりの外注料金の目安
| 依頼する業務 | 主な料金の形 | 料金の目安 | 委託が得になる目安 |
|---|---|---|---|
| 反響対応代行 | 月額固定 | 月5万〜50万円 | 月の反響50〜100件 |
| 追客代行(休眠客の掘り起こし) | 月額固定 | 月30万〜70万円 | 休眠客が月300件超 |
| 査定後フォロー | 成果報酬 | アポ1件1.5万〜3万円 | 査定反響が月20件超 |
| テレアポ代行 | 架電1件ごと | 1件100〜300円 | 月の架電1,000件未満 |
(引用元:GMO不動産査定「不動産会社向け営業代行会社おすすめ一覧」)
定額型と成果報酬型の違い
定額型は予算を立てやすい反面、反響が少ない月は1件あたりが割高になります。成果報酬型は、面談設定などの成果が出たときだけ費用がかかります。その分「何を成果とするか」を契約で細かく決めないと、質の低い面談が増えます。
依頼前に採算を確かめる計算のしかた
外注の採算は「増える手数料収入」と「外注費から減る人件費を引いた額」で比べます。下の表に自社の数字を入れて計算してください。
表3:追客外注の採算チェック表(記入用)
| 項目 | 計算のしかた | 自社の数字 |
|---|---|---|
| ① 増える媒介件数 | 月の反響数 ×(外注後の媒介獲得率※ − 今の媒介獲得率) | |
| ② 増える手数料収入 | ① × 媒介からの成約率 × 平均手数料収入 | |
| ③ 実質の費用 | 外注費 − 減る人件費 | |
| 判定 | ② が ③ を上回れば採算あり |
※業者の実績値を使います。
追客を外注すると効果は出るのか?
反響直後の連絡と定期的な追客を続けられる体制になれば、効果は出ます。初動が早まって取りこぼしが減り、営業担当が訪問査定と提案に時間を使えるようになるためです。ただし、自社との役割分担が前提です。
初動が早まり、対応の記録も残る
外注や自動化で、営業担当が外出中でも反響直後に連絡できます。そのため、通電しないまま他社に流れる反響が減ります。いつ誰にどんな連絡をしたかが記録に残り、担当者が辞めても見込み客の情報が会社に残ります。
営業担当が訪問査定と提案に集中できる
架電やメールの作業が減り、営業担当は訪問査定や査定書づくりに時間を回せます。売却経験者への調査では、販売実績などの営業力が見えないことや、査定根拠となる市況情報の不足が、媒介前のストレスの上位でした。売主は連絡の回数だけでなく、中身のある提案を求めています。
(引用元:株式会社Facilo「不動産売却の課題と顧客体験に関する調査」)
追客外注の業者選びで失敗しないためには?
売買仲介と一括査定の流れを分かっていて、実績を数字で出せる業者を選びます。加えて、自社の追客ルールと法令に沿って動けるかを契約前に確かめます。
契約前に業者へ聞く質問
表4:追客外注の契約前チェックリスト
| 確認点 | 業者に聞く質問 | よい回答の例 |
|---|---|---|
| ① 売買仲介の理解 | 売買仲介の追客は、賃貸の反響対応と何が違いますか | 机上査定と訪問査定、媒介の種類の違いをふまえた手順を説明できる |
| ② 実績と報告:母数つきの数字 | 何件の反響に対応し、何件が通電し、何件が面談につながりましたか | 反響数・通電数・面談数を母数つきで出せる |
| ② 実績と報告:成果の定義 | 何を成果として費用を請求しますか | 「売主本人と訪問査定の日程が決まったもの」など、条件を文章で示せる |
| ② 実績と報告:報告の方法 | 対応の記録は、いつ・どの形で共有されますか | 1件ごとの対応記録と、決まった頻度の集計を出せる |
| ③ 自社ルールと法令:自社の追客ルール | 連絡の時間帯・回数・言葉づかいを自社に合わせられますか | トーク手順を事前に見せ、自社の承認を得てから動ける |
| ③ 自社ルールと法令:勧誘の規制 | 電話の最初に何を名乗り、断った売主をどう扱いますか | 会社名・担当者名・目的を名乗り、連絡を断った売主の一覧を共有できる |
| ③ 自社ルールと法令:個人情報の管理 | 個人情報の管理で第三者認証を取っていますか | プライバシーマークやISMSなどの認証と、漏えい時の報告手順を示せる |
法令にかかわる範囲を契約書で分ける
電話での追客は、宅地建物取引業法の勧誘ルールの対象になりえます。勧誘前に会社名・担当者名・目的を伝える、断った相手に勧誘を続けない、などの定めがあります。また、媒介契約は宅地建物取引業者が結び、重要事項説明は宅地建物取引士が行います。外注先に任せられる範囲を、契約書ではっきり分けておきます。
【要確認:宅地建物取引業法と同法施行規則(勧誘の規制は施行規則第16条の12)は改正される場合があります。e-Gov法令検索(宅地建物取引業法)で最新情報をご確認ください】
外注と自動化ツールはどう使い分ければよいのか?
初回連絡と定期連絡は自動化に任せ、深い会話が必要な場面は人が受け持つのが基本です。人の対応は、外注先か自社の営業担当かを、追客の段階で分けます。
初回連絡と定期連絡は自動化に任せる
反響直後のお礼と、相場情報などの定期連絡は、決まった文面で十分に回せます。 ここを自動化すると、夜間や休日の反響にもすぐ連絡できます。 送る手段は、売主が文字で気軽に返せるLINEが向いています。 ただ、反響は電話やメールから始まるため、LINEでのやり取りに切り替える手間がかかります。
ALL GRITは、その手間を解消した自動追客ツールで、反響直後からLINE上で追客ができます。 なお初回連絡や定期連絡で終わらず、査定アポを自動獲得する機能も備えています。
※ALL GRITは売買仲介特化の自動追客ツールです。反響直後からLINE追客を実現したい方へ。⇒ALL GRITのサービス資料をダウンロードする
机上査定後の深い会話は人が受け持つ
売却の理由、住み替えの時期、価格への考えなどは、文面だけでは聞き出せません。売主から返信や質問が来たら人の対応に切り替えます。日程の調整までは外注先に任せられますが、訪問査定の提案や価格の相談は自社の営業担当が受け持ちます。
よくある質問
Q追客をすべて外注に任せても大丈夫ですか?
すべてを任せるのはおすすめしません。初回連絡や日程の調整は外注に任せられますが、媒介につなげる深い会話は自社の営業担当が受け持つべきです。
Q営業が3人ほどの小さな会社でも効果はありますか?
あります。反響が少ないうちは、固定費のかからない成果報酬型や月額の安いツールから試し、件数が増えたら月額固定の外注を比べます。
Q外注と自動化ツールは、どちらから始めるべきですか?
反響直後の連絡が遅れている会社は、自動化ツールで初回連絡と定期連絡を整えるところから始めると効率的です。電話でしか拾えない反響や、手のかかる案件が多い会社は、外注から始める選択もあります。
Q外注先から顧客情報が漏れる心配はありませんか?
契約書に個人情報の取り扱いと安全対策を書き、定期的に確認することが欠かせません。個人情報保護法では、個人データの取り扱いを外部に任せる場合、任せた側が委託先をきちんと監督する必要があります。
【要確認:個人情報保護法は改正される場合があります。個人情報保護委員会のサイトで最新情報をご確認ください】
反響直後の追客を整えたい方へ
媒介獲得を大きく左右するのが、反響直後の初動とその後の連絡の続け方です。ALL GRITは、一括査定の反響をLINEのお友達につなげる不動産会社向けのMAツールです。反響が入った直後から、LINEでの自動追客を始められます。
また、定期連絡だけでなく、査定アポの獲得まで自動化できるのが特長です。営業担当は、アポが取れた売主への訪問査定と提案に集中できます。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年10月8日 |

