外部媒体からの反響が最終的に媒介獲得につながる割合は、現場では6〜7%が実態です。優秀な会社では10%前後に達するケースもあります。これは反響→通電→訪問査定→媒介獲得という複数のステップを積み上げた結果であり、全体の数字だけを追っていてもどこで取りこぼしているかはわかりません。この記事では、各ステップの目安と課題段階の特定方法を整理します。
そもそも「媒介獲得率」はどうやって計算する?
「媒介獲得率」とは、反響を起点として一定期間内に媒介獲得につながった割合です。計算式は媒介獲得件数 ÷ 有効反響数 × 100です。ただし、前提の定義をそろえないと社内でも数字がバラバラになります。
反響・査定アポ・媒介獲得、どこからどこまでを「媒介獲得率」と呼ぶか
「媒介獲得率」と一口に言っても、どこを起点にするかで意味が変わります。一般的には外部媒体から情報が届いた時点(着電・メール受信・フォーム送信)を反響の起点とし、そこから媒介獲得が完了するまでをひとつの流れとして捉えます。会議で「媒介獲得率」と言うとき、全員が同じステップを指しているか確認してください。
何を分母に置くかで数字が変わる
「架電して1回以上通電した件数」を有効反響とすることで、現場の実態に近い数字が出ます。架電しても一度も繋がらなかった件数を含めると分母が膨らみ、媒介獲得率が実態より低く出ます。逆に除外しすぎると、取りこぼしの多さが見えなくなります。定義を決めたら、毎月同じ基準で計測してください。
一括査定反響と自社問い合わせは分けて計測すべき理由
一括査定サイトからの反響と自社ホームページからの問い合わせは必ず分けて集計してください。競合環境が根本的に異なるため、まとめて計測すると「どちらの媒体に課題があるか」の判断がつかなくなります。
反響から媒介獲得までの歩留まり、業界の目安はどのくらい?
各ステップの目安を整理します。公益社団法人全日本不動産協会が示す指標を参考にすると、下表のような水準が各段階の目標値になります。
| ステップ | 目安 | 反響100件の場合 |
|---|---|---|
| 反響 → 通電(電話が繋がる) | 約70% | 70件 |
| 反響 → 訪問査定アポ | 約25% | 25件 |
| 訪問査定 → 媒介獲得 | 約60% | 15件 |
(引用元:公益社団法人全日本不動産協会「一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」)
目標値と実態の差をどう見るか
現場では6〜7%という声を多く聞き、優秀な会社で10%前後というのが実態です。各ステップの目安をすべて達成できている会社は少なく、どこかで取りこぼしが起きています。
(出典:ギバーテイクオール株式会社 商談先不動産会社へのヒアリングによる)
この差がどのステップで生まれているかを特定することが改善の起点になります。全体の通算媒介獲得率だけを見ても原因は特定できません。自社がこの表のどのステップで最も落ちているかを確認するところから始めてください。
一括査定反響の媒介獲得率が特に低くなりやすいのはなぜ?
一括査定サイト経由の反響は、同じ売主が複数の不動産会社に同時に依頼している状態です。競合が多い前提でスタートする分、自社問い合わせより媒介獲得率が低くなりやすい構造があります。
初動対応が遅れると一気に離脱する
最も大きな差が出るのは初動の速さです。反響が届いてから折り返しまでに時間がかかるほど、他社に先に接触されるリスクが上がります。
初回対応体制を見直したある不動産会社の事例では、接触率が改善前の38.2%から改善後の63.0%へと向上しています。接触できない反響は、追客のスタートラインに立てません。
(引用元:LIFULL HOME'S Businessの事例報告)
「今すぐ売りたい」だけではない売主への対応が抜けやすい
一括査定の売主は「今すぐ売りたい」という人ばかりではありません。「3ヶ月後に動きたい」「価格感を確認したいだけ」という人も一定数います。初回接触でアポにならなかったからといって追客を止めてしまうと、数ヶ月後に他社で媒介獲得されてしまいます。
追客が途切れやすい——電話・メールだけでは接触を続けにくい
電話は相手の都合に左右され、メールは開封されないままになりやすい傾向があります。そこで近年注目されているのがLINEです。LINEの平均開封率は55%で、不動産業界におけるメールの平均開封率24.50%と比べて約2.2倍に達します。送ったメッセージが届きやすい分、追客チャネルとして有効です。
ただし、LINEはお友達登録が完了していないとメッセージを送れないため、一括査定サイトからの反響に対しては反響直後に使えないのが業界全体の課題です。この制約を前提とした上で、反響が届いた直後からLINEを追客チャネルとして使える環境を整えられるかどうかが、電話・メールに頼り切らない追客体制を作るカギになります。
(引用元:LINEヤフー社・lymcampus「LINE公式アカウント開封率調査」2022年6月、ラクス社「業界別メルマガの開封率とクリック率の目安って?効果測定の正しい方法とは」2024年7月)
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自社の媒介獲得率が目安を下回っていたら、どこを疑えばいい?
通電率・アポ率・媒介獲得率の3段階それぞれで原因が異なります。各ステップの数字を計測し、どの段階で最も落ちているかを特定することが先決です。
通電率・接触率が低い場合——対応スピードと連絡手段を見直す
担当者が不在の時間帯に届いた反響を誰が最初に対応するか、体制として決まっているかを確認してください。電話が繋がらない場合にSMSやメールで一次連絡できる導線も整備してください。折り返しまでの時間が長くなるほど、接触率は下がります。
訪問査定アポ率が低い場合——初回接触時の説明内容を見直す
「とりあえず査定します」という案内だけでは、売主に訪問を受ける動機が伝わりません。「電話でお伝えした机上の査定額は、物件の状態や設備を実際に見ないと精度が上がりません」という一言を添えるだけで、訪問査定につながりやすくなります。「査定に来る=売ることが決まる」と思い込んでいる売主も多いため、「見るだけでも構いません」という言葉が後押しになるケースもあります。
媒介獲得率が低い場合——訪問後のフォローと査定根拠の提示を点検する
媒介獲得率が低い場合は、訪問査定後のフォロー頻度を確認してください。売主は複数社を比較しています。できるだけ早い段階で再連絡できているか、査定金額の根拠を資料として手渡せているかが差になります。口頭での説明だけでは、後から他社の資料と見比べたときに印象が薄くなります。
媒介獲得率を上げるために、まず何から手をつければいいか?
最初にやるべきことは、段階別の数字を揃えることです。数字なしに施策を打つのは、どこに穴が開いているかわからないまま水を注ぐようなものです。
直近3ヶ月の反響を4つの数字に分解する
直近3ヶ月分の反響データで以下の4つを計算してください。
- ① 有効反響数(定義を統一した件数)
- ② 通電・接触できた件数とその割合
- ③ 訪問査定アポにつながった件数とその割合
- ④ 媒介獲得まで至った件数とその割合
一番落ちている段階に絞って手を打つ
改善の優先順位は、上流のステップから順番に整えることです。通電率が低い状態で査定トークを磨いても、アポの機会そのものが少なすぎます。接触できる件数を増やし、次にアポ確度を上げ、最後に媒介獲得の精度を高める順序が、最も効率よく媒介獲得率を改善できます。
月次で計測し、改善を習慣にする
月次で同じ数字を計測し、前月と比較する習慣を作ることで、施策の効果確認と次の打ち手が自然につながっていきます。「先月より訪問査定アポ率が2ポイント上がった」「通電率が下がったので体制を見直す」という判断が、数字があることで初めてできるようになります。
よくある質問
Q反響から初回連絡までの時間は、どのくらいが目安ですか?
当日中の架電が基本です。担当者が不在の時間帯であっても、反響受信後すぐにSMSで「○○社の△△です。改めてご連絡いたします」と1行送るだけで印象が変わります。架電より相手の都合に左右されにくいため、一次連絡の手段として有効です。
Q担当者ごとに媒介獲得率が大きく違う場合、何を統一すればいいですか?
まず通電率・アポ率・媒介獲得率を担当者別に計測してください。全社平均だけでは、成績の良い担当者が低い担当者の数字を隠してしまいます。差が大きいステップを特定したうえで、トップ担当者の初回接触トークや査定後の提案資料を標準化することが全体の底上げにつながります。
Q媒介獲得率の目安は、仲介と買取で違いますか?
異なります。買取は売主がある程度の価格の低さを許容したうえで問い合わせるため、媒介獲得への転換率が高くなりやすい傾向があります。一方、市場価格での売却を希望する仲介案件は査定・比較のプロセスが長く、競合も多くなります。自社の反響を仲介・買取・自社問い合わせ・一括査定に分けて集計すると、どの経路に課題があるかが明確になります。
反響直後からLINE追客を実現したい方へ
LINEは開封率・既読確認の面で、追客チャネルとして最も優れたツールのひとつです。しかし一括査定サイトからの反響に対しては、お友だち登録が完了していないため、一般的には反響直後にLINEで追客することができません。
ALL GRITは、一括査定反響をそのままLINEのお友達に転換することが可能です。反響が届いた直後からLINEを追客チャネルとして活用できるようになるため、媒介につながるアポ獲得に大きく貢献します。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年9月4日 |

