不動産売買仲介でMAツールを選ぶなら、IT担当者がいない5〜20名規模には不動産特化型、複数部門のデータを一元管理したい50名以上には汎用型が基本の判断軸です。反響が来ても追客が追いつかない、担当者によって対応にばらつきがある原因は個人のスキルではなく仕組みの欠如にあります。
この記事では不動産売買仲介会社が実際に使えるMAツール5選を比較し、規模別の選び方と導入前の注意点を解説します。
MAツールを入れると、追客の何が変わるのか?
反響直後の自動配信・行動スコアリング・担当者へのアラートが自動化されます。追客の抜け漏れと出遅れを、仕組みで防げるようになります。
手作業の追客には構造的な限界がある
全国の30歳から69歳の男女計14,035人を対象にしたある調査では、不動産業界に限ったデータではありませんが、SFA・CRMの導入率は企業全体の9.1%にすぎません。さらに導入済みの企業のうち、27%が「ツールを効率的に活用できていない」と回答しています。月間反響が増えると担当者の対応に抜け漏れが出始めますが、これは個人の問題ではなく仕組みの問題です。
手作業での追客では、反響が届くタイミングによって対応スピードが変わります。担当者が外出中・商談中・休暇中であれば、初回連絡が翌日以降になることも珍しくありません。同じ会社でも担当者によって対応品質に差が生まれやすく、顧客体験が安定しないという課題があります。
MAツールを導入すると、担当者の状況に関わらず反響直後のアクションを自動化できます。初回メッセージ配信・行動トラッキング・担当者へのアラートが仕組みとして動くため、抜け漏れが構造的に起きにくくなります。
(引用元:TSUIDE社「SFA、CRM導入実態に関する調査」2022年2月)
追客は初動の速さが成果を決める
不動産会社(売買・賃貸含む、回答294件)を対象にしたメール反響に関するアンケート調査では、反響後5分以内に初回返信した場合の来店率・成約率(引用元の表記)が、それ以外と比べて高い傾向が確認されています。チャネルがメールであれLINEであれ、初動の速さが顧客の印象と信頼感に直結するという点は共通しています。反響直後は顧客の検討熱量が最も高い状態で、訪問査定を依頼する会社を3社程度に絞るケースが多く、反響の瞬間からすでに競合しています。最初に連絡した会社が関係を築きやすく、対応が遅れるほど他社へ流れるリスクが高まります。
MAツールがあれば、担当者が気づく前に自動で初回メッセージを送り出せます。初回アクションを仕組みで担保することで、担当者は本来注力すべき商談・案内に集中できます。
(引用元:LIFULL HOME'Sによるアンケート調査 2019年、公益社団法人 全日本不動産協会「一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」月刊不動産2019年7月号)
不動産売買仲介で使えるMAツール5選、何が違うのか?
不動産特化型は初期設定のしやすさとサポートの手厚さが強みです。汎用型は多機能ですが導入ハードルが高くなります。
各ツールの比較
| ツール名 | 種別 | 対応チャネル | 月額費用目安 | 向いている規模 |
|---|---|---|---|---|
| ALL GRIT | 特化型 | LINE・SMS・メール | 3万円〜 | 小〜中規模 |
| KASIKA | 特化型 | メール・LINE等 | 6万円〜 | 小〜中規模 |
| HubSpot | 汎用型 | メール・SMS等 | 無料〜(本格活用9.6万円〜) | 中〜大規模 |
| Salesforce Marketing Cloud | 汎用型 | メール・SMS等 | 要問合せ | 大規模 |
| いえらぶCLOUD | 特化型 | メール等 | 要問合せ | 小〜中規模 |
※各ツールの機能・料金は変更になる場合があります。導入前に各社へ最新情報をご確認ください。
特化型か汎用型か、どちらを選ぶべきか?
特化型か汎用型かの選択を間違えると、導入後に「使えない」と感じる原因になります。機能の豊富さよりも、自社の体制で無理なく運用できるかを基準にしてください。
不動産特化型が向いている会社
不動産特化型は、査定反響から来店・媒介獲得までの業務フローに沿って設計されています。LINEやSMSを使った初回連絡・フォローアップシナリオがあらかじめ用意されているものが多く、導入後すぐに動かせるのが強みです。IT担当者がいない5〜20名規模の会社でも運用しやすく、サポートや運用代行を提供しているツールであれば、ノウハウがない状態から定着させやすいです。
汎用型が向いている会社
汎用型は、メール・SMS・Web行動トラッキングなど幅広い機能を備えています。一方で、不動産業務フローに合わせた設定は自社で作り込む必要があり、導入・運用には一定のIT知識と工数が求められます。既存の基幹システムや他部門のデータと連携させたい場合や、50名以上の規模で複数チームが使う場合には、汎用型の柔軟性が活きます。ただし、IT担当者がいない会社が汎用型を選ぶと、設定が途中で止まるケースも少なくないため注意が必要です。
導入前に確認すべき4つのポイントとは?
ツールの種類を決めたあと、個別のツール選定で見落としやすいポイントが4つあります。デモや資料確認の前に、チェック項目として整理しておきましょう。
対応チャネルを確認する
対応チャネルはツールによって異なります。LINE公式アカウントは平均開封率が55%で、不動産・住宅分野のメール平均開封率は24.50%です。LINEにはお友達登録が完了していない相手にはメッセージを送れないという制約があるため、メールと組み合わせる運用が基本になります。どのチャネルをメインにするかを先に決めてから、ツールの対応範囲を確認するとよいでしょう。
(引用元:LINEヤフー社・lymcampus「LINE公式アカウント開封率調査」2022年6月、ラクス社「業界別メルマガの開封率とクリック率の目安って?効果測定の正しい方法とは」2024年7月)
初動の自動化を確認する
「反響が届いた瞬間に動き始めるか」「既存ツールと連携できるか」を、デモの段階で必ず確認してください。反響直後に自動で動かない仕組みでは、手作業の追客と変わりません。最初の自動アクションが何分以内に発動するかも、確認ポイントの一つです。
トータルコストを試算する
コストは月額費用だけでなく、初期設定費用・従量課金・運用委託費も含めて試算してください。月額が安くても初期費用や運用委託費が重なれば、年間コストは大きく変わります。複数ツールを比較する際は、条件を揃えて年間総コストで比べると判断しやすくなります。
運用体制・サポートを確認する
ツールを入れる前に、運用担当者と配信メッセージを先に決めておくことがツール定着の最低条件です。「誰が・何を・いつ送るか」が決まっていないまま導入すると、ツールはあっても動かせない状態が続きます。サポートや運用代行が付いているかどうかが、ツールが現場に定着するかどうかに直結します。
LINEを追客に使いたい場合、何を確認すればよいのか?
「LINE対応」と書いてあっても、実際の中身は「すでに友達登録されている顧客に対してLINE送信ができる」という内容のケースが多いです。LINEの1番の壁は「どうやって顧客をLINE友達にさせるか」にあります。お友達転換させる機能や導線があるのかどうかを導入前に必ず中身を確認してください。
「LINE対応」の中身を確認する
友達登録済みの顧客へのメッセージ送信ができるだけなのか、加えて新規顧客をLINEお友達を転換する仕組みも持っているのかが確認ポイントです。「LINE対応」とあってもお友達にならないと追客には使用できないため、導入後に思ったのと違ったとならないように注意する必要があります。
LINEが主軸のMAツールであるALL GRITは、一括査定サイトからの反響に対して、LINEお友達に自動転換する仕組みと導線を持っています。自動転換となるため、反響が営業時間外や定休日でも取りこぼすことがないのが特徴です。反響直後から電話やメールに加えてLINEでも追客ができることとなるため、顧客との接触率向上に期待できます。
よくある質問
QMAツールとCRMツールは何が違いますか?
CRMは顧客情報の管理が主な目的で、MAツールはその情報をもとに自動アクションを起こすことに特化しています。たとえばCRMで顧客情報を整理し、MAツールで反響後の自動メッセージ配信や行動トラッキングを行う、といった組み合わせ方もあります。「情報の整理が課題か」「追客の自動化が課題か」を先に整理すると、ミスマッチを防げます。
Q社員5〜10名の小規模な会社でも使えますか?
使えます。不動産特化型ツールはIT担当者がいない小規模会社での導入を前提に設計されているものが多く、サポートや運用代行プランを提供しているケースも少なくありません。まずはサポート体制と初期設定の工数を確認し、無理なく運用できるかを判断することをおすすめします。
QLINEで追客するには、別途準備が必要ですか?
はい。LINE公式アカウントの開設が必要です。無料のコミュニケーションプランは月200通までで、反響数が多い場合は月額5,000円〜の有料プランへの切り替えも視野に入れてください。MAツールの費用とあわせてトータルコストを試算しておきましょう。
Q解約や乗り換えはしやすいですか?
ツールによって異なります。多くのSaaS型MAツールは月次・年次契約で、中途解約に違約金が発生するケースもあります。また、蓄積した顧客データや配信履歴のエクスポート可否もツールによって条件が違います。乗り換えを見越して、契約期間・解約条件・データ移行のルールを契約前に確認しておくことをおすすめします。
Q担当者が複数いる場合、どう運用しますか?
反響の担当者振り分けルールを事前に決めておくことが先決です。エリアや物件種別、反響元サイトなどを基準に自動で担当者を割り振れるツールもあります。配信メッセージは担当者ごとに変えるのか、会社名義で統一するのかも、導入前に決めておくべき運用ルールのひとつです。複数担当者での利用を想定している場合は、ユーザー数の上限や追加費用もあわせて確認してください。
反響直後からLINE追客を実現したい方へ
LINEは開封率・既読確認の面で、追客チャネルとして最も優れたツールのひとつです。しかし一括査定サイトからの反響に対しては、お友だち登録が完了していないため、一般的には反響直後にLINEで追客することができません。
ALL GRITは、一括査定反響をそのままLINEのお友達に転換することが可能です。反響が届いた直後からLINEを追客チャネルとして活用できるようになるため、媒介につながるアポ獲得に大きく貢献します。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年8月28日 |

