不動産会社の集客方法は、オンラインとオフラインを合わせて大きく6つの手法に分かれます。ただし、反響を増やすだけでは成約率は上がりません。「反響の取り方」と「追客の仕組み」を両方整えることが、集客の本質です。

不動産会社の集客は「反響を取る」と「追客する」の2段階に分かれている?

集客は「反響を増やす施策」と「取った反響を成約に変える仕組み」の2層で成り立っています。どちらか一方だけ強化しても、売上には直結しません。

全国の宅地建物取引業者数は13万2,291業者(2025年3月末時点、前年度比1.3%増)に達しており、11年連続で増加しています。同じ一括査定サイトに掲載していても、反響後の初動が遅い会社は競合に先を越されます。まず「自社の反響が今どこで止まっているか」を把握することが先決です。

(引用元:国土交通省「令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」/数値は毎年更新されます。最新版は同ページでご確認ください)

「問い合わせが来ても成約しない」は追客の問題

反響数が多いのに成約が増えない場合、大半は追客の問題です。通電できていない、メールの返信率が低い、訪問査定に結びついていない——といった、反響後のプロセスに穴が開いているケースがほとんどです。

集客施策を選ぶ前に確認すべき自社の課題

施策を増やす前に、まず現状を数字で把握してください。「月の反響数」「通電率」「訪問査定への転換率」「媒介獲得率」の4つが手元にない場合は、計測の仕組みから整えることを先に検討してください。施策を増やしても、どこで止まっているかが分からなければ改善できません。

オンライン集客の方法には何がある?

一括査定サイト・SEO・SNS・Web広告の4つが主な手法です。即効性は一括査定サイトが最も高いですが、費用と競争の激しさもトップクラスです。

一括査定サイトへの掲載(即効性が高いが競争も激しい)

売却意欲の高い売主から直接反響が来るため、即効性は高いです。ただし、同じ反響が複数の会社に届くため、初動の速さが受託の分かれ目になります。掲載費用は媒体によって異なりますが、査定依頼が発生した件数に応じて課金される成果報酬型が多い傾向です。正確な単価は各媒体に直接確認することを推奨します。

ある不動産情報サービスの事例報告では、初回対応体制を見直した結果、接触率が38.2%から63%に改善したとされています。反響を取る量よりも、取った後の初動をどう設計するかが媒介獲得率を大きく左右します。

(引用元:LIFULL HOME'S Business の事例報告

SEO・ブログ記事(時間はかかるが長期的に安定)

自社ウェブサイトの記事を検索上位に表示させることで、継続的に集客できます。効果が出るまでに3〜6ヶ月程度かかりますが、広告費がかからない点が強みです。「〇〇市 不動産売却」「〇〇区 マンション査定」などの地域キーワードから着手するのが現実的です。

SNS運用とWeb広告

InstagramやXは、短期の問い合わせよりも認知拡大が主な目的です。地域の物件情報や売却事例を発信し、「地元の不動産会社」として覚えてもらう効果があります。リスティング広告やMeta広告は即効性がありますが、クリック単価が上昇傾向にあります。「反響1件を取るのにいくらかかっているか(CPL)」を計測しながら運用しなければ、費用の無駄打ちに気づけません。

オフライン集客の方法には何がある?

ポスティング・紹介・OB客接触の3つが主な手法です。費用対効果で見ると、OB客への定期接触は最もコストが低く、成約率が高い傾向があります。

ポスティング・新聞折込チラシ

特定のエリアに絞って売却を促す訴求ができます。「〇〇町で売却実績○件」などの実績を入れると、問い合わせにつながりやすくなります。1回のポスティングで動く売主は限られるため、3ヶ月に1回程度の継続投下を前提に費用を見積もる必要があります。地域の自治会イベントや不動産相談会への出展も、「顔が見える会社」としてのブランドづくりに活用できますが、いずれも反響に直結するまでに時間がかかる点を踏まえたうえで取り組んでください。

地域密着の紹介・OB客への定期接触

過去に仲介した売主・買主への定期接触は、費用がほぼゼロで成約率も高い手法です。年2〜3回のDMや電話でも、「また相談したい」と思ったときに選ばれやすくなります。「紹介ルートを整備していない」という会社が多いですが、既存顧客リストがある場合はまず活用を検討してください。

集客方法はどうやって選べばいい?

「月に何件の反響に対応できるか」「予算はいくらか」の2点から逆算して選ぶのが正解です。対応できる上限を超えた反響は、追客が追いつかず無駄になります。

会社の規模・予算・対応できるリソースで絞る

下の表を参考に、自社の状況に合った手法を選んでください。

手法 即効性 継続コスト 向いている会社の特徴
一括査定サイト 中〜高(成果報酬) 反響対応体制が整っている
SEO・ブログ 低(3〜6ヶ月〜) 長期で投資できる
リスティング広告 予算に余裕がある
SNS運用 低〜中 低(工数は必要) 認知拡大を狙う
ポスティング エリア特化の地場業者
紹介・OB接触 ほぼゼロ 既存顧客リストを持つ

売却仲介に強い会社が優先すべき施策はどれか

売却仲介を主力とする会社は、まず「一括査定サイト」と「OB客接触」の2つに絞ることを推奨します。一括査定は即効性があり、OB客接触は費用なしで動かせます。SEOやSNSは、この2つで収益が安定してから並行して取り組む順番が現実的です。

反響が来てからの「追客」で差がつく理由は?

反響直後の初動速度が、媒介獲得率に最も影響します。同じ反響でも、素早く連絡できる会社と翌日に連絡する会社では、媒介獲得率に大きな差が出ます。

問い合わせから連絡が取れるまでの時間が成約率を左右する

一括査定サイトから反響が来た時点で、売主はすでに複数の会社に問い合わせています。最初に連絡が取れた会社が有利に進めやすく、初日の通電率が受託数を決める構造です。「営業時間外の反響に翌朝一番で折り返す」仕組みを持っているかどうかが、競合との差になります。

メール・電話・LINEそれぞれの追客の特徴と限界

メールの開封率は住宅・不動産業界で24.5%、返信率は低い傾向があります。電話は通電できれば最も確実ですが、日中は繋がりにくいケースが多いです。LINEは開封率が55%とメールと比較しても高く、既読がつくため反応を確認しやすいですが、お友達登録が完了していないとメッセージを送ることができないため、新規反響顧客をお友達転換できるかどうかが、その後の追客効率を大きく左右します。

ALL GRITは、反響をLINEのお友達に自動転換したうえで自動追客を実現するMAツールです。電話が繋がらない時間帯でも接触を継続できるため、取りこぼしを減らす手段として活用されています。
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(引用:LINEヤフー社・lymcampus「LINE公式アカウント開封率調査」2022年6月ラクス社「業界別メルマガの開封率とクリック率の目安って?効果測定の正しい方法とは」2024年7月

集客の費用対効果はどう測ればいい?

「反響あたりのコスト(CPL)」と「反響から成約までの転換率」を組み合わせて評価します。反響数だけを追っていると、費用の高い施策を続けてしまうリスクがあります。

チャネルごとに追うべき指標(CPL・媒介獲得率・CAC)

チャネルごとに次の3つを月次で記録してください。

  • CPL(Cost Per Lead):反響1件を獲得するのにかかった費用
  • 媒介獲得率(反響→媒介):反響が媒介獲得につながった割合
  • CAC(顧客獲得コスト):成約1件あたりの総費用

たとえば、一括査定経由で月10件の反響を取り、そのうち2件媒介を取得できたとすれば媒介獲得率は20%です。掲載費が月10万円であれば、媒介獲得1件あたりのコスト(CAC)は5万円になります。この数字をチャネルごとに比較することで、どの施策を伸ばすべきかの判断ができます。

「反響数」だけ追うと失敗する理由

反響数を増やすことに注力すると、追客しきれない反響が積み上がります。結果として対応が雑になり、媒介獲得率が下がるという逆効果になります。自社が月に対応できる反響数の上限を決め、その範囲で最も効率のよい施策に集中することが先決です。

集客施策の効果が出ない会社に共通するパターンは?

「施策の数が多すぎて管理できていない」「担当者が変わると追客が止まる」の2つが、効果が出ない会社に最も多い共通点です。

施策の数だけ増やして管理が追いつかなくなる

複数の一括査定サイトに掲載し、広告も出し、SNSも更新しているのに成約につながらない——という状況は、施策の分散が原因であることが多いです。それぞれの施策で発生した反響を、誰がいつどのように対応するかが決まっていないと、反響はただの「問い合わせ履歴」で終わります。

反響対応が属人化していて再現性がない

特定の担当者だけが反響対応の流れを把握していると、その人が休んだ瞬間に追客が止まります。これは5〜15名規模の会社で特によく起きる問題です。「誰が、いつ、どのチャネルで、何回接触したか」をチームで共有できる仕組みがないと、集客施策の効果は安定しません。

よくある質問

Q集客にかける予算がほとんどない場合、何から始めればいいですか?

まずOB客への定期接触から始めてください。費用はほぼゼロで、成約率も高い傾向があります。既存顧客リストに年2〜3回のDMや電話を入れるだけでも効果が出やすいです。

Q一括査定サイトからの問い合わせに電話しても繋がりません。どうすればいいですか?

電話だけでなく、メールやSMSなど複数チャネルで同時に接触することが基本です。初日に複数回接触を試みる体制を整えている会社は、通電率が改善するケースが多いです。

QSEOをやってみたいが、どこから始めればいいですか?

「〇〇市 不動産売却」「〇〇区 査定」など、地域名を絡めたキーワードを狙った記事から始めるのが現実的です。競合が少ない地域キーワードは、比較的短期間で上位表示を狙えます。

QSNSをやっているが問い合わせが来ません。やめるべきですか?

SNSは短期の問い合わせ獲得よりも、認知拡大が主な目的です。成約に直結する施策と組み合わせて使うのが基本で、SNS単独で成果を測ることは向いていません。

Q集客と追客、どちらを先に強化すべきですか?

既存の反響が成約につながっていないなら追客を先に整えてください。反響数自体が少ない場合は、集客施策の見直しを先に行ってください。

一括査定サイトからの反響、取りこぼしていませんか?

反響が来ても電話が繋がらない。メールを送っても返信が来ない——そうした状況が続いている場合、追客の仕組みを整えることで改善できる可能性があります。

ALL GRITは、一括査定サイトからの反響をLINEのお友達に転換し、反響直後から自動でメッセージを送る仕組みを実現するMAツールです。担当者の工数を増やさずに、反響直後からの接触を自動化できます。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年9月7日