一括査定の売却反響は、電話・SMS・メールに加えてLINEでも追客すると、これまで接点を持てなかった売主とつながれます。60代のLINE利用率は9割を超え、メールより格段に読まれやすいためです。LINEで成果を出すコツは、「反響直後にLINEへ案内する」「概算の査定額を登録の理由にする」の2つです。この2つを仕組みにした支援先では、売主の60〜77%がLINEの友だち登録をしています。
※本記事は、マンションリサーチ社との共催セミナー「電話に続く『第二の査定アポ』をLINEで獲得する」で、ギバーテイクオール代表の河野が話した内容をもとに再構成しています。
電話・SMSだけの追客では、なぜ売主とつながらないのか?
売主が、知らない番号からの電話やSMSを警戒しているからです。スマホの機能で知らない番号の着信を自動で選別する人も増え、電話がつながらないまま終わる反響が出ています。さらに一括査定の反響には夜間・休日の申込も多く、架電できる時間だけでは追いきれません。
知らない番号の着信を、AIが先に受ける時代になった
iPhoneのiOS 26には「着信スクリーニング」という機能があります。連絡先にない番号から電話がかかると、iPhoneが自動で応答し、相手に名前と用件を尋ねます。売主は用件を文字で確認してから、出るかどうかを決められます。
(引用元:iPhone Mania「iOS26新機能『着信スクリーニング』を試した!」)

詐欺電話が増えるなか、この機能をオンにしている人は少なくありません。架電の現場で「AIの一次応答が増えた」と感じるなら、この機能の影響を受けている可能性があります。
私自身、経営者として知らない番号からの電話が多く、着信スクリーニングは常にオンにしています。これで無駄な電話に出る数が大きく減りました。売主側でも同じことが起きていると考えるべきです。(河野)
電話がつながらない時間帯の反響も多い
自社調べでは、売却反響の3割以上が、電話をかけにくい夜間(20時〜翌8時)に入っています。会社によっては、反響の4〜5割が架電できない時間帯です。夜遅くまで架電を続ける会社もありますが、口コミでの低評価やコンプライアンス面のリスクを抱えることになります。
「とりあえず価格を知りたい」売主が増えている
一括査定サイトの多くは「高く売れる」と打ち出して査定を集めています。そのため、まず概算の価格だけ知りたいという売主が増えました。こうした売主は、何度も電話をかけてくる会社を避けがちです。
架電の外注で発信数を増やしても、競合も同じサービスを使っていれば差はつきません。メールはそもそも開かれにくくなっています。電話・SMS・メールは今も追客の基本ですが、それだけに頼る段階は終わりつつあります。
電話がつながらない反響の実態は、不動産売却の反響取りこぼし対策5選でも、通電率のデータとあわせて解説しています。
なぜ電話の代わりではなく「LINEを足す」のか?
LINEは電話の代わりではなく、電話でつながらない売主に届く補完の手段だからです。売却を考える60代の9割以上がLINEを使っており、メールより格段に読まれます。電話・SMS・メールを続けたままLINEを加えた会社ほど、成果が出ています。
60代のLINE利用率は、10年で11%から91%に伸びた
総務省の調査では、60代のLINE利用率は2014年の11.3%から、2024年には91.1%まで伸びました。
| 年 | 60代の利用率 | 全年代の利用率 |
|---|---|---|
| 2024年 | 91.1% | 94.9% |
| 2020年 | 76.2% | 90.3% |
| 2017年 | 39.8% | 75.8% |
| 2014年 | 11.3% | 55.1% |
(引用元:総務省「令和7年版 情報通信白書 LINE利用率の推移(年代別)」)
今の50代が60代になれば、利用率はさらに上がります。相続をきっかけに不動産を売る人が増える「大相続時代」を迎え、売主の中心となる世代のほとんどがLINEを使う状況です。この層と接点を持てるかどうかが、媒介獲得の差になります。
メールより、LINEのほうが読まれてクリックされる
1,000人に送った場合の参考比較では、LINEはメールより開封率で約3倍、開封後のクリック率で約10倍の差が出ています。
| 連絡手段 | 開封率の目安 | クリック率の目安 |
|---|---|---|
| LINE | 60%以上 | 約10% |
| メール | 20%前後 | 約1% |
※ギバーテイクオールによる参考比較です。クリック率は開封した人のうちクリックした割合で、1,000人あたりのクリック数はメール2件、LINE60件と約30倍の差になります。
LINEは画像やボタンを押しやすく、査定結果や予約ページへの誘導にも向いています。届く割合とクリックされる割合を掛け合わせると、売主が次の行動に進む数には大きな差がつきます。
LINEは「これまで取れなかった層」を取りに行く手段
LINEだけで追客する必要はありません。電話がつながる売主には、これまでどおり電話で対応します。LINEは、電話に出ない売主や夜間に動く売主など、取りこぼしていた層との接点をつくる役割です。
先進企業はLINE追客をどう始めているのか?
大手や勢いのある仲介会社は、すでにLINEを含む非対面の売却相談に投資しています。共通するのは、AIによる概算査定を入口にして、売主が自分のペースで相談できる流れをつくっている点です。
AI査定を入口に、LINE上で売却相談を受ける
兵庫県宝塚市の株式会社ウィルは、株式会社LIFULLと共同で開発したAI査定を、2025年5月にLINE上で提供し始めました。売主はLINEで物件情報を入力し、AIとの対話で査定価格とその根拠を確認できます。同年12月には対象エリアと物件種別を広げ、会員登録制のWebサービスに移行しています。
(引用元:株式会社ウィル「生成AI不動産価格査定サービス(β版)開始のプレスリリース」)※他社の公表事例で、ALL GRITの導入事例ではありません。
友だち追加は売主にとって気軽な行動です。まず友だちになってもらい、会話の中で物件情報を入力してもらう。概算の査定額を示し、そこから質問に答えながら訪問査定につなげる。この流れが、LINE追客の基本形になりつつあります。
先に始めた会社ほど、ノウハウが積み上がる
LINEを含む追客は、今後業界の標準になっていくと考えられます。早く始めた会社には、配信の文面や導線の改善ノウハウが先にたまります。1〜2年後には、LINEを主要チャネルにする仲介会社も出てくるはずです。
LINEを併用すると、査定への移行率が上がる
一括査定から訪問査定への移行率は、業界平均で15〜20%ほどです。20%を超えれば追客をしっかりしている会社、30%に届けば徹底している会社といえます。支援先では、電話・メールにLINEを加えたことで、訪問査定の数が1.25〜1.58倍に増えました。
| 支援先 | 反響数(月) | 導入前の訪問査定(月) | 導入後の訪問査定(月) | 増加率 |
|---|---|---|---|---|
| 広島県 G社 | 80件 | 12件(移行率15%) | 19件(移行率24%) | 158% |
| 東京都 T社 | 130件 | 22件(移行率17%) | 30件(移行率23%) | 136% |
| 千葉県 H社 | 80件 | 16件(移行率20%) | 20件(移行率25%) | 125% |
※ALL GRIT導入前後の比較(ギバーテイクオール支援先の実績)
コツ① 反響直後にSMS・メールでLINEへ自動案内する
LINE追客の成否は、売主が友だち登録するまでの速さで決まります。反響が入ったら、1通目のSMSとメールに必ずLINEの登録リンクを入れ、自動で送ります。理想は、反響から30秒ほどで案内が届く状態です。

LINEの弱点は、友だち登録が済むまでメッセージを送れないことです。時間が空くほど、売主は登録してくれなくなります。査定を申し込んだ直後の、関心が最も高いタイミングで案内を届けましょう。
電話追客で「反響が入ったらすぐかけろ」と指導するのと同じ考え方です。電話では早くかけるために架電代行を使う会社もあります。LINEも、いかに早く「登録してください」と届けるかが勝負です。
夜間・休日の反響こそ自動化が効く
営業担当が自分のLINEで一人ずつ案内を送るのは、現実的ではありません。夜中や定休日の反響には、そもそも対応できません。だからこそ、システムで自動化すべき部分です。
一度LINEに入ってもらえれば、個別メッセージでもシナリオ配信でも打ち手はあります。支援先を見ても、この入口をシステムと連動させていない会社は、たいていLINE追客がうまくいっていません。
複数の一括査定サイトから、即時に取り込める仕組みにする
反響を自動で案内するには、一括査定サイトとシステムが連動している必要があります。各サイトから届く反響通知メールを自動で取り込み、そのままSMS・メールを送れる環境をつくりましょう。
複数のサイトを使う会社では、サイトごとに管理画面へログインして情報を確認していると、タイムラグが生まれます。どのサイトの反響でも即時に取り込める仕組みが必要です。すでにシステムを入れている会社は、「全サイトの反響を即時に取り込み、自動配信できているか」を一度確認してみてください。
LINE登録を案内する文面の例
1通目は、会社名と「自動送信」であることを名乗り、LINEに登録すると何が得られるかを一言で伝えます。URLだけのメッセージは詐欺と疑われやすいため、何のリンクかを必ず添えましょう。
SMSの例
〇〇不動産です(自動送信)。
査定のお申し込みありがとうございます。
簡易査定の結果を、LINEですぐにご確認いただけます。
下記から友だち登録をお願いします。
▶(LINE登録URL)
メールの例
件名:【〇〇不動産】簡易査定の結果をLINEでご確認いただけます
このたびは査定のお申し込みありがとうございます。
〇〇不動産です。
お申し込みいただいた物件の簡易査定の結果を、LINEでご確認いただけるようになりました。
下記のリンクから友だち登録いただくと、すぐに結果が届きます。
▶(LINE登録URL)
※簡易査定は価格の目安です。より正確な価格は、物件を拝見したうえでお伝えします。
物件の住所や査定額は、SMSやメールの本文には書かず、LINE登録後に届けます。SMSの基本的な送り方や送る時間帯の注意点は、不動産SMS営業の送り方|売却反響を訪問査定につなげる文例8選もあわせてご覧ください。
コツ② 「概算の査定額が見られる」を登録の理由にする
売主にLINEへ登録してもらうには、「なぜ登録するのか」という理由が必要です。どんな特典よりも効くのは、査定額の提示です。「LINEに登録すると、概算の査定額をすぐ確認できます」と案内すると、高い確率で登録してもらえます。
一括査定の売主は「まず価格を知りたい」
一括査定を申し込む売主は、ほぼ全員が「概算でいいから価格を知りたい」と考えています。そのニーズにLINEで先に応えるのが、登録率を上げる近道です。ギバーテイクオールでは、マンションリサーチ社と提携し、LINE上で簡易査定の結果を届ける仕組みを使っています。

「本査定っぽく」見せないほうがいい
査定額を見せるときは、あくまで「概算」と伝えるのがポイントです。そのうえで「より正確な価格を出すために、物件のことを教えてください」「実際に拝見しないと分からない部分があります」と続けます。概算だからこそ、訪問査定を打診する理由が生まれます。
いろいろ試した結論として、概算のほうがいいんです。本査定のように見えないほうが、次の訪問査定につなげやすい。(河野)
「AI査定」より「簡易査定が早く届いた」と伝える
「AI査定」という言葉は、売主にはまだなじみがありません。検証の結果、「簡易査定の結果が早く届きました」という伝え方のほうが、売主にとって自然に受け取られました。仕組みの名前ではなく、売主が得られることを伝えましょう。
| 伝え方 | 売主の受け取り方 |
|---|---|
| 「AI査定の結果です」 | 何の仕組みか分からず、戸惑いやすい |
| 「簡易査定の結果が届きました」 | 申し込んだ査定の返事として、自然に受け取れる |
| 「正式な査定額です」 | 本査定と受け取られ、訪問査定の理由がなくなる |
| 「概算の査定額です。より正確な価格は物件を拝見して」 | 次の相談・訪問査定につなげやすい |
※簡易査定は価格の目安で、訪問査定とは異なります。
実際にどれくらいの売主がLINEに登録するのか?
2つのコツを仕組みにした支援先では、売却反響の売主のうち最低でも60%、多い会社では77%がLINEに登録しています。電話の通電率と比べても、見劣りしない数字です。
通電率に負けない登録率
| 接点のとり方 | 売主とつながる割合の目安 |
|---|---|
| LINE(反響直後の自動案内+査定額の提示) | 60〜77% |
| 電話(1週間、毎日2回ほど架電) | 50〜60% |
| 電話(つながるまで徹底して架電) | 80%前後 |
※LINEの登録率は支援先A社(首都圏・売買仲介)60%、B社(地方都市・売買仲介)77%の実績。電話の割合は支援先へのヒアリングをもとにした目安です。
登録率を伸ばしたのは、案内を1回で終わらせず、メールとSMSで1週間、毎日リマインドを送ったことです。翌日以降の開封から登録が積み上がり、登録率はじわじわ上がりました。電話を徹底している会社の通電率に近い割合で、LINEでも接点を持てるということです。
実際に何が起きるのか:水曜朝8時の反響が3分でアポに
東京都のA不動産(一括査定の反響は月10件ほど)では、定休日の水曜日、朝8時2分に一括査定の反響が入りました。この売主は電話番号を間違えて入力しており、電話だけで追っていれば一度も接点を持てなかった反響です。
売主は、反響直後に自動で届いたメールから8時3分にLINEへ登録し、メニューから簡易査定の結果を確認しました。8時4〜5分には査定結果のページからフォームに入力し、訪問査定を申し込んでいます。反響から予約まで、わずか3分でした。担当者は一度も電話をしていません。
導入企業が感じた3つの変化

- 「単純に連絡手段が増えたこと、それがLINEであることで、反応率が格段に上がりました」(東京都 T不動産)
- 「電話に出ないお客様がLINEなら返信してくれ、査定アポになりました」(千葉県 H不動産)
- 「すぐにアポにならないお客様もLINEにたまるので、中長期追客にも活用できています」(広島県 G不動産)
一括査定の売主は、すぐ売りたい人が約2割、「いずれ売りたい」人が約8割といわれます。LINEなら、後者とも無理なく接点を保てます。
LINEに入った売主が、その後どう動いて訪問査定に至るのか。続編の記事では、支援先の実際の行動ログをもとに、事例を詳しく紹介します。
よくある質問
QLINE追客を始めたら、電話追客はやめてもいいですか?
やめる必要はありません。電話がつながる時間帯は、これまでどおり電話で対応するほうが成果は出ます。LINEは、電話に出ない売主や夜間の反響など、電話では届かない層を補う手段として使います。
Q個人のLINEで売主とやりとりしてもいいですか?
会社として追客するなら、LINE公式アカウントを使うのがおすすめです。個人のLINEでは、反響直後の自動案内や配信の管理ができず、担当者が異動・退職したときにやりとりも引き継げません。
QLINEで査定額を見せると、訪問査定を断られませんか?
「概算」として見せれば、むしろ訪問査定につなげやすくなります。「より正確な価格は物件を拝見してから」と伝えることで、訪問の理由が生まれるためです。
Q過去の反響の売主もLINEに登録してもらえますか?
メールアドレスや電話番号が分かっていれば、SMS・メールでLINEへの登録を案内できます。以前は電話がつながらなかった売主とも、改めて接点を持てます。
一括査定の反響を、LINEでの追客までつなげるには?
ALL GRITは、不動産売買仲介会社向けの追客ツールです。一括査定サイトの反響を自動で取り込み、SMS・メールでLINEの友だち登録を案内します。登録後はLINE上で簡易査定の結果を届け、訪問査定や店舗相談の予約までつなげます。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年10月9日 |

