机上査定と訪問査定の違いは、現地を見るかどうかです。机上査定はデータだけで即日〜2日で目安を出す初動用、訪問査定は現地確認とヒアリングで1週間ほどかけて売り出し価格の根拠を出す媒介獲得用です。不動産会社は「反響の温度感」「物件の特性」「反響の入口」の3つで使い分け、机上査定から訪問査定へつなげる流れをつくります。

机上査定と訪問査定の違いとは?

違いは「現地を見るかどうか」です。この差が、査定の精度、結果が出るまでの時間、営業上の役割の違いを生みます。

比較表でわかる5つの違い

項目 机上査定(簡易査定) 訪問査定(詳細査定)
使う情報 物件の基本情報と取引事例 上記に加えて現地の確認と売主へのヒアリング
精度 目安の価格 売り出し価格の根拠になる価格
結果が出るまで 即日〜2日程度 1週間程度
営業の手間 小さい 大きい(日程調整・訪問・査定書の作成)
営業上の役割 反響への初動、見込み度の判断 媒介の獲得、売却の進め方の提案

(「結果が出るまで」の引用元:GMO TECH株式会社「マンションの査定方法とは?注意点・評価ポイント・準備内容を紹介」)

机上査定(簡易査定)とは?役割と精度の限界

机上査定の役割は、反響直後の初動と、見込み度の判断です。室内などの個別要因が入らないため、売り出し価格を決める材料には使いません。初動では「早く返す」ことを最優先にします。

机上査定で使うデータ

主に使うのは、次のデータです。

  • 登記情報(所在地・面積・築年数など)
  • 近くの成約事例と売り出し事例
  • 公示地価などの公的な価格データ

どれも机の上で集められるため、短い時間で結果を返せます。

反響直後の初動での役割

一括査定の反響は、同じ商圏の他社にも同時に届いています。全日本不動産協会の解説によると、売主の多くは「まず査定額を知りたい」段階です。そのため、机上査定を早く返すことが最初の接点になります。

(引用元:公益社団法人全日本不動産協会「月刊不動産2019年7月号 一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」)

訪問査定とは?精度が高い理由と営業上の役割

訪問査定は、担当者が現地を確認し、売主の話も聞いて価格を出す方法です。データにない要因を価格に入れられるため、精度が高くなります。さらに訪問査定は、媒介を取るための商談の場でもあります。

現地で確認する主な項目

訪問査定では、主に次の項目を確認します。

  • 室内の傷みと設備の状態
  • リフォームの時期と内容
  • 日当たり、眺望、周りの騒音
  • マンションは共用部と管理の状態
  • 戸建て・土地は境界と接道の状況

どれも、取引事例のデータだけではわかりません。

査定書に書く内容の違い

机上査定書と訪問査定書では、書く内容が次のように変わります。

記載項目 机上査定書 訪問査定書
査定価格 幅を持たせた目安 根拠を付けた価格
価格の根拠 近くの成約事例と売り出し事例 事例に加え、現地で確認した個別の要因
反映していない項目 室内の状態、リフォーム、管理状態などを明記 確認できなかった点があれば明記
売り出し価格の提案 載せない 売主の希望時期をふまえて提案
販売の進め方 訪問査定の案内 販売計画と媒介後の活動内容

訪問査定書で進め方まで示せると、売主が他社と比べるときに金額以外の材料になります。

査定額の根拠を示す義務

宅建業者は、価格について意見を言うときに根拠を示す必要があります(宅地建物取引業法第34条の2第2項)。国の解釈では、根拠は価格査定マニュアルや取引事例などとされています。訪問査定で集めた情報は、この根拠を厚くする材料になります。

(引用元:国土交通省「価格査定マニュアルについて(参考資料)」)

【要確認:宅地建物取引業法は改正される場合があります。e-Gov法令検索(宅地建物取引業法)で最新情報をご確認ください】

机上査定と訪問査定の使い分け方は?3つの基準

使い分けの基準は「反響の温度感」「物件の特性」「反響の入口」の3つです。基本の流れは、机上査定で初動を取り、訪問査定で精度を上げる2段階です。

基準1:反響の温度感で分ける

売却の時期が決まっていない人には、机上査定を先に返します。そのうえで、訪問査定でわかることを案内します。

住み替えや資金の都合で期限がある人には、最初から訪問査定を提案します。期限がある売主は、正確な価格と進め方を早く知りたいからです。

基準2:物件の特性で分ける

次のような物件は、最初から訪問査定を前提にします。

  • 築年数が古い戸建て
  • 再建築不可の物件や、形がいびつな土地
  • 大きなリフォームをした物件
  • 事故物件など、心理的な事情がある物件

これらは似た取引事例が少なく、机上査定の金額がぶれやすい物件です。机上査定を出す場合は、幅を通常より広めに伝えます。

基準3:反響の入口で分ける

一括査定の反響は、最初から他社と競合しています。机上査定を早く返し、同じ連絡の中で訪問査定を打診します。

自社サイトやチラシからの反響は、自社を選んで問い合わせています。この場合は、最初の連絡から訪問査定を提案しやすくなります。

机上査定から訪問査定につなげるには?

机上査定の結果は「目安」と伝え、訪問査定でわかることを具体的に示します。あわせて、反響直後の連絡が途切れない仕組みをつくります。

反響から媒介までの目安の数字

同じ解説では、段階ごとの目安が示されています。反響から1分以内に電話し、通電率は70%を目指すとされています。反響から訪問査定へは25%、訪問査定から媒介へは60%が目安です。

反響100件なら、70件と通電し、25件で訪問査定をする計算です。訪問査定25件のうち15件で媒介を取るのが目標になります。自社の数字と比べ、どの段階で落ちているかを確認しましょう。

(引用元:公益社団法人全日本不動産協会「月刊不動産2019年7月号 一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」)

机上査定の結果を送るときの伝え方

机上査定の結果を送るときは、次のように伝えます。

「今回の価格は、近くの取引事例から出した目安です。室内の状態やリフォームの内容は入っていません。お伺いすれば、根拠を付けた価格と、売り出しまでの進め方をお出しします。」

「何がわかるのか」を先に伝えると、訪問への心理的な壁が下がります。訪問の所要時間と、結果を出す日もあわせて伝えましょう。

反響直後の連絡手段の使い分け

最初の対応は、売主が依頼先を決める理由になります。不動産売却の経験者315人のうち、84.8%が仲介を依頼していました。仲介を依頼した人のうち、61%は1社にしか相談していません。依頼先の決め手では「営業担当者の対応に好感が持てた」が21.3%で最も多い結果でした。1社だけに相談した理由には「一番対応が早かったところにした」という回答もあります。

ただし、電話だけではつながらない人も多くいます。マーケティング会社が2024年に、20〜69歳の1,100人を対象に調査しました。その45.2%が「知らない番号からの着信はほぼ出ない」と答えています。

普段の連絡で広く使われているLINEは、国内の月間利用者数が2025年12月時点で1億を超えています。

ところが、一括査定の反響で届くのは、電話番号とメールアドレスが中心です。そのため、お友達登録へ案内する仕組みがないと、反響直後の連絡にLINEを使えません。

この課題を解決するのが、不動産会社向けのツール「ALL GRIT」です。一括査定サイトからの反響をLINEのお友達登録につなげ、反響直後から自動で追客できます。夜間や休日の反響や、電話がつながらない売主とも、LINEで接点を持てます。

(引用元:株式会社NEXERとタクシエ(TAQSIE)による調査「不動産売却の相談に関するアンケート」/タクシエ(TAQSIE)、株式会社クロス・マーケティング「電話での声と文字のやり取りに関する調査(2024年)」、LINEヤフー株式会社「LINE国内月間利用者数1億突破に関する発表(2026年1月)」)

※ALL GRITは売買仲介特化の自動追客ツールです。反響直後からLINE追客を実現したい方へ。⇒ALL GRITのサービス資料をダウンロードする

よくある質問

Q簡易査定と机上査定は違うものですか?

同じ査定方法です。会社や一括査定サイトによって呼び方が違うだけです。訪問査定は「詳細査定」と呼ばれることもあります。社内で呼び方をそろえておくと、顧客への説明で迷いません。

Q机上査定の結果には、何を書いて送ればよいですか?

価格だけでなく、価格の根拠と反映していない項目をあわせて書きます。根拠には、参考にした近くの取引事例を示します。室内の状態など反映していない項目を書いておくと、訪問査定を案内しやすくなります。

Q机上査定と訪問査定で金額が大きくずれたら、どう説明しますか?

ずれた理由を、項目ごとに具体的に示します。「室内の傷み」「リフォームの内容」「管理の状態」など、どこで変わったかを伝えます。机上査定を送る時点で、ずれることを予告しておくのが一番の対策です。

Q一括査定の売主は、訪問査定を何社に頼むことが多いですか?

同じ解説では、3社程度に絞ることが多いとされています。訪問査定は、この数社の中から選ばれるための場です。査定書に加え、販売実績や売り出し後の進め方の資料を用意しましょう。

(引用元:公益社団法人全日本不動産協会「月刊不動産2019年7月号 一括査定サイトを利用した効果的な媒介取得法」)

反響直後の追客をLINEで自動化するには?

机上査定から訪問査定へ進む割合を上げる鍵は、反響直後の対応です。ALL GRITは、一括査定サイトからの反響をLINEのお友達登録につなげます。登録後は、査定方法の案内から訪問査定の予約まで、LINEで自動で追客できます。

営業の手間を増やさずに訪問査定の件数を伸ばしたい方は、まずは資料をご覧ください。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年10月26日