専任媒介と一般媒介の最大の違いは「1社に任せるか、複数社に同時に頼めるか」です。専任媒介には2週間に1回以上の定期報告とレインズ登録の義務がありますが、一般媒介にはありません。仲介手数料の上限は同じで、レインズの成約報告率は専任媒介26.5%、一般媒介9.4%と大きく差があります。

専任媒介と一般媒介は何が違うのか?

違いは「売主をどこまで縛るか」と「会社にどこまで義務を課すか」です。専任媒介は1社に任せてもらう代わりに、会社が定期報告とレインズ登録の義務を負います。一般媒介は売主が何社にでも頼める代わりに、会社に定期報告とレインズ登録の義務がありません。

比較表で見る専任媒介・一般媒介・専属専任媒介の違い

項目 専任媒介 一般媒介 専属専任媒介
他社への重ねての依頼 できない できる できない
売主が自分で見つけた買主との契約 できる できる できない(会社を通す)
契約の有効期間 3か月以内 法律上の上限なし 3か月以内
定期的な活動報告 2週間に1回以上 法律上の義務なし 1週間に1回以上
購入申込みがあったときの報告 義務 義務 義務
取引状況の登録(2025年1月〜) 義務 義務なし 義務
レインズ登録 契約から7日以内(休業日を除く) 義務なし(任意で登録可) 契約から5日以内(休業日を除く)
仲介手数料の上限 3つとも同じ 3つとも同じ 3つとも同じ

購入の申込みがあったときは、一般媒介でも遅滞なく売主に報告する義務があります。一般媒介の期間は法律上の上限がありませんが、国の標準媒介契約約款では3か月以内としています。

専任媒介・一般媒介・専属専任媒介の違いを、依頼できる会社の数、自己発見取引、定期報告の頻度、レインズ登録の期限で比較した図

なぜ契約が分かれているのか

売主の「自由に動きたい」と「1社に責任を持ってほしい」は両立しにくいからです。営業側から見ると、専任媒介は「義務を負って独占する契約」、一般媒介は「他社と競う契約」です。

専任媒介と一般媒介ではどちらが売れやすいのか?

レインズの集計では、専任媒介の成約報告率は26.5%で、一般媒介の9.4%を大きく上回ります。専属専任媒介を含めた専任系で見ると、一般媒介の約2.8倍です。

レインズのデータで見る登録件数と成約報告率

2025年にレインズへ新規登録された売り物件は1,458,084件でした。このうち専任媒介が498,622件(34.2%)で、媒介契約の中で最も多くなっています。一般媒介は301,208件(20.7%)、専属専任媒介は136,654件(9.4%)でした。残りは、不動産会社が自ら売主となる物件や、代理による登録です。

成約報告率は、成約報告件数を新規登録件数で割った数値です。

  • 専任媒介:498,622件中132,046件(26.5%)
  • 一般媒介:301,208件中28,220件(9.4%)
  • 専属専任媒介:136,654件中37,260件(27.3%)

専任系を合わせると635,276件中169,306件(26.7%)で、一般媒介の約2.8倍です。

(引用元:公益財団法人不動産流通推進センター「指定流通機構の活用状況について(2025年分)」)

成約報告率を読むときの注意点

成約報告率は、物件ごとの成約率そのものではありません。一般媒介はレインズ登録が任意で、同じ物件を複数社が登録する場合もあるためです。また出典元は、2025年1月のシステム改修が成約報告件数に影響した可能性があると注記しています。前年との比較には使わず、契約形態の間の差として見るのが安全です。それでも、専任系の方が成約まで進めやすい傾向は数字に表れています。

会社にとって専任媒介と一般媒介はどちらが得なのか?

手間をかけて売る案件は、専任媒介を軸にする方が得です。手数料の上限は同じでも、一般媒介は他社に決められると広告費を回収できないからです。

仲介手数料の上限は契約形態で変わらない

手数料の上限は、契約形態ではなく売買価格で決まります。400万円を超える物件なら「売買価格×3%+6万円」に消費税を足した額が上限です。2024年7月からは、800万円以下の物件で30万円(税別)まで受け取れる特例ができました。この特例は、事前に売主へ説明して合意を得ることが条件です。どれも「上限」なので、契約形態を理由に手数料を上げることはできません。

一般媒介を受けるなら物件を絞る

一般媒介は、広告費をかけても他社で決まれば手数料はゼロです。受けるなら、人気エリアのマンションなど、相場どおりの価格で早く決まりやすい物件に絞ります。売主に他社への依頼状況を聞き、競合する会社の数をつかんでから動くと空振りを減らせます。

専属専任媒介は専任媒介と何が違うのか?

専属専任媒介は、売主が自分で見つけた買主とも直接契約できない契約です。定期報告は1週間に1回以上、レインズ登録は5日以内で、専任媒介より義務も重くなります。

専任媒介と共通する取引状況の登録義務

2025年1月からは、レインズに「取引状況」を登録することも義務になりました。申込みが入っているかなどの状況を、売主が自分で確認できる仕組みです。登録内容が事実と違えば、行政処分の対象になります。この義務は専属専任媒介と専任媒介の両方にあります。

専属専任媒介を提案しやすい売主

売主自身に買主のあてがない案件で提案しやすい契約です。遠方に住んでいる、仕事で動けないなど、報告を頼りに任せたい売主にも提案しやすくなります。

売主に「どの契約がいい?」と聞かれたらどう答えるべきか?

売主の事情を3つ聞いてから提案するのが正解です。「いつまでに売りたいか」「自分で買主を探すあてはあるか」「何社とやりとりできるか」の3つです。会社の都合だけで専任を勧めると、後の不満や解除につながります。

売主の事情で提案を分ける基準

  • 売却の期限がある、報告をこまめにほしい → 専属専任媒介
  • 親族や知人など、買主のあてがある → 専任媒介
  • 複数社とやりとりできる、人気物件で競わせたい → 一般媒介

専任系を勧めるときは、報告の頻度と中身を先に約束します。「毎週(専任媒介なら2週間ごと)、問い合わせ数と内見数をお送りします」と具体的に伝えると、1社に任せる不安が小さくなります。

契約形態の説明不足が招くトラブル

起きやすいのは、専属専任媒介の制限を売主が知らなかったケースです。売主の知人が買うことになっても、契約中は会社を通す必要があります。会社を通さずに契約すると、約定報酬額相当の違約金を求められます。会社を通せば仲介手数料がかかるため、どちらにしても「聞いていない」という不満になります。自己発見取引のルールは、契約書を渡すだけでなく口頭でも説明します。

契約の途中変更や期間満了ではどんな問題が起きるのか?

専任系の契約を売主の都合で途中解除すると、売主に費用の請求が発生する場合があります。期間満了時の切り替えは止められないため、報告の質で更新につなげます。

専任から一般へ変更するときの注意点

国の標準媒介契約約款では、会社に落ち度のない解除の場合の定めがあります。会社はそれまでにかかった費用を売主に請求でき、上限は約定の報酬額です。また、専任期間中に他社の仲介で契約すると、売主は約定報酬額相当の違約金を求められます。

契約期間満了時に売主が他社へ乗り換える理由

乗り換えのきっかけになりやすいのが、報告の中身です。満了前に、販売状況と次の3か月の打ち手を説明する場を設けると、更新につながります。

なお、満了後に会社が紹介した買主と売主が直接契約した場合の定めもあります。標準媒介契約約款では、満了から2年以内なら、会社は成約に寄与した割合に応じた報酬を請求できるとしています。

よくある質問

Q専任媒介と一般媒介では、どちらが売れやすいですか?

レインズの2025年の集計では、成約報告率は専任媒介26.5%、一般媒介9.4%でした。ただし一般媒介は登録が任意で重複登録もあるため、物件ごとの成約率とは異なります。

(引用元:公益財団法人不動産流通推進センター「指定流通機構の活用状況について(2025年分)」)

Q不動産会社は専任媒介と一般媒介のどちらを取るべきですか?

手間をかける案件は、成約報告率の高い専任媒介を軸にするのが合理的です。一般媒介は、相場どおりの価格で決まりやすい物件に絞って受ける判断も必要です。

Q専任媒介の契約期間を6か月にできますか?

できません。3か月を超える期間を決めても、法律上は3か月として扱われます。売主からの申し出があれば更新できますが、更新後の期間も3か月以内です。

Q専任媒介から一般媒介への変更を売主に求められたら、不動産会社はどう対応すべきですか?

まず理由を聞きます。報告への不満が理由なら、報告の頻度と中身を見直す案を出します。複数社で比べたいという理由なら、無理に引き止めず、満了時の切り替えを提案します。

参照した法令・告示
法令・告示は改正される場合があります。最新の内容は各リンク先でご確認ください。

一括査定の反響を、その日のうちにLINEの追客へつなげる

媒介獲得は、反響直後に売主と話せるかどうかで大きく変わります。訪問査定の前に「売却の期限」「買主のあて」「他社への依頼状況」を聞ければ、契約形態の提案まで進めやすくなります。ただ、一括査定の反響直後は電話番号とメールしかなく、売主とLINEでつながっていないため、電話がつながらないと連絡の手段が限られます。

ALL GRITは、一括査定サイトからの反響をLINEのお友達に転換する不動産会社向けのツールです。反響直後から、LINEでの自動追客を実現します。

導入企業の東京都T社では、月130件の反響のうち、訪問査定に進んだ件数が月22件から月30件に増えました。

(引用元:ギバーテイクオール株式会社「ALL GRIT導入企業の成果事例」)

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年11月2日