「机上査定だけでいい」と言われたら、まず希望どおり査定結果を送ると約束し、そのうえで理由を一つだけ聞きます。理由に合わせて訪問の負担を小さく伝え、候補日の2択で提案します。その場で断られても、次の連絡の約束を残せば、結果を見たあとに訪問査定へつなげられます。売主の言い方ごとの切り返しは下の表のとおりです。

売主の言い方 最初の返し 次の一手
「机上査定だけでいいです」 「承知しました。まずは査定結果をお送りします」 理由を一つだけ聞く
「会うのは面倒で」 「お時間をいただくのは心苦しいので」 所要時間を具体的に伝える
「営業されたくない」 「その場で決めていただく必要はありません」 訪問の目的は査定だけだと伝える
「相場だけ知りたい」 「相場の幅はお送りする結果でわかります」 幅が出る理由を伝える
「家が片付いていない」 「片付けは不要です」 見る場所を具体的に伝える

「机上査定だけでいい」と言われたら、まず何をすればいい?

まずは売主の希望どおり、査定結果を送ると約束します。
そのうえで、机上査定を選んだ理由を一つだけ聞きます。
最初から訪問を勧めると、売主は「やっぱり営業された」と感じて電話を切りたくなります。

電話がつながっても、訪問査定まで進むのは一部

ある架電代行会社が、一括査定の反響に電話した集計があります。
9月度は、査定依頼4,086件のうち、電話がつながったのが2,460件でした。
つながった2,460件のうち、訪問査定まで進んだのは924件です。
8月度も、電話がつながった2,450件のうち、訪問査定は846件でした。
電話がつながった売主の6割以上は、訪問査定に至っていません。

(引用元:ミカタ株式会社「一括査定サイト媒体別の通電率・訪問査定率レポート 2026年8月度・9月度」)

「机上査定だけでいい」という返事は、訪問査定まで進まない会話の入口の一つです。
ここで会話を終わらせない切り返しを、チームで決めておきます。

希望を受け止めて、理由を一つだけ聞く

売主:とりあえず、机上査定だけで大丈夫です。
営業:承知しました。まずは周辺の相場データをもとにした査定結果を、本日中にメールでお送りします。
営業:差し支えなければ、今回は相場を確認したいご状況でしょうか?それとも、訪問の時間を取るのが難しいご状況でしょうか?

理由を聞くときも、2つの候補から選んでもらうと、売主は迷わず答えられます。
売主の答えによって、次の切り返しを変えます。

初回電話全体の流れは「不動産営業トークスクリプト【初回電話編】査定反響からのアポ獲得」、
ほかの場面の話し始めは「不動産営業のトークスクリプト集」で紹介しています。

机上査定の希望を訪問につなげにくい返し方

場面 NGな返し方 OKな返し方 OKな理由
机上査定を希望された 「訪問しないと正確に出ません」とすぐ言う まず査定結果を送ると約束する 売主の希望を否定しない
理由を聞く 「なぜ訪問はだめなんですか?」 2つの候補から選んでもらう 責められている印象を与えない
訪問を提案する 「訪問査定はいかがでしょうか?」 理由に合わせて負担を小さく伝える 断る理由がなくなる
日程を決める 「いつがよろしいですか?」 候補日を2択で示す 話が「いつ会うか」に進む

理由ごとに、どう切り返せばいい?

理由が「時間」なら所要時間を、「営業への警戒」なら訪問の目的を伝えます。
「相場だけ知りたい」なら、机上査定でわからないことを伝えます。
「相場だけ知りたい」場合を除き、訪問の負担を小さく伝えてから、候補日の2択に進みます。

「会うのは面倒で」と言われたとき

売主:わざわざ来てもらうのも面倒で……
営業:お時間をいただくのは心苦しいので、お部屋の拝見は30分ほど、ご説明を含めても1時間ほどで終わります。
営業:今週の土曜と日曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

「少しだけ」ではなく、時間を数字で伝えます。
終わりの時間が見えると、売主は予定を立てられます。
所要時間は、自社で実際にかかる時間に合わせて言い換えてください。

日程は、候補日を2つ示して選んでもらう形で提案します。
以下の会話例でも、同じ形を使います。

「営業されたくない」と言われたとき

売主:来てもらうと、売るように勧められそうで。
営業:その場で決めていただく必要はありません。訪問は、金額の根拠をご説明するためだけです。
営業:ご説明を聞いたうえで、ほかの会社と比べていただいてかまいません。土曜と日曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

「比べていただいてかまいません」と先に言うと、売主の警戒心が下がります。

「相場だけ知りたい」と言われたとき

売主:相場がわかれば十分なので。
営業:承知しました。相場の幅は、お送りする査定結果でわかります。
営業:ただ、同じマンションでも、階数や室内の状態で金額に差が出ます。実際にいくらで売れそうかまで知りたくなったら、一度拝見させてください。

相場だけ知りたい売主には、その場でアポを決めにいきません。
「結果を見て、もっと知りたくなったら」という次の入口を残します。

訪問が必要な理由は、どう伝えればいい?

机上査定ではわからないことを、売主の物件に当てはめて具体的に伝えます。
「正確な金額のため」だけでは、売主は訪問する理由として受け取りにくいです。

机上査定でわからないことを、具体的に挙げる

机上査定でわかること 訪問しないとわからないこと
立地・広さ・築年数 室内の傷み具合・リフォームの状態
周辺の成約事例・売り出し事例 日当たり・眺望・におい・音
物件のおおよその相場 売主の事情に合った売り方・時期

営業:お送りする結果は、広さや築年数などのデータで出した金額です。キッチンや水回りの状態、日当たりは反映されていないので、実際の金額と差が出ることがあります。

「家が片付いていない」と言われたとき

売主:今、家の中が散らかっているので……
営業:片付けは不要です。拝見するのは、水回りの状態や日当たりなど、金額に関わるところだけです。
営業:今週の土曜と日曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

見る場所を具体的に伝えると、売主は家の中をすべて見られるわけではないとわかります。

それでも訪問を断られたら、どうする?

訪問より小さい一歩を用意し、それも難しければ、査定結果を見たあとに電話する約束をします。
訪問を断られても、次の連絡の約束があれば、会話は終わりません。

電話相談や来店相談など、小さい一歩を用意する

当社が追客を支援した事例では、いきなりの訪問に抵抗があった売主に、15〜30分の電話相談の窓口を案内しました。
売主はまず電話相談を予約し、相談のあとに訪問査定へ進んでいます。

(引用元:ギバーテイクオール株式会社「成果事例集」2026年10月版)

営業:いきなり来てもらうのは気が引ける、という方もいらっしゃいます。まずは15〜30分ほどのお電話で、査定結果のご説明だけでもできます。明日の夕方と明後日の午前でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

次の電話の約束をして切る

営業:承知しました。査定結果をご覧いただいたころに、一度お電話します。来週の火曜と水曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

査定結果を見たあとは、売主に聞きたいことが出てきやすい時期です。
次の電話の日を決めておくと、その疑問に答える機会をつくれます。

査定結果を送ったあと、どう訪問につなげればいい?

査定結果のメールに、訪問でわかることを一言添えます。
結果を見たころにかける電話では、売主の気になった点から話し始めます。

査定結果のメールに添える一文

メール:周辺の相場データをもとにした査定結果をお送りします。室内の状態や日当たりによって、この金額から上下することがあります。より詳しい金額が必要になりましたら、お気軽にお声がけください。

金額が上下することを先に伝えておくと、訪問を提案するときの理由になります。

結果を見たころの電話

営業:〇〇不動産の〇〇です。先日お送りした査定結果の件で、気になる点がないか確認したくお電話しました。
売主:思っていたより少し安かったです。
営業:そうでしたか。リフォームされた箇所などは、データの査定に入っていません。一度拝見して、金額に反映できるか確認させてください。土曜と日曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

「安かった」「高かった」という感想は、訪問を提案するきっかけになります。
売主の感想を受け止めて、訪問でわかることにつなげます。

よくある質問

Q机上査定と訪問査定は何が違う?

机上査定は、立地・広さ・築年数や周辺の成約事例などのデータだけで金額を出します。
訪問査定は、それに加えて室内の状態や日当たりなどを実際に見て金額を出します。
売主に説明するときの違いは、上の表「机上査定でわかること/訪問しないとわからないこと」にまとめています。

Q不動産の机上査定の結果は、売主にいつまでに送るべき?

電話で約束したら、その日のうちにメールで送ります。
約束どおりに届くと、売主は「この会社はきちんと対応してくれる」と受け取ります。

Q机上査定で高い金額を出すと、訪問査定につながる?

根拠のない高い金額は出しません。
訪問のあとで金額を下げることになると、売主の信頼を失います。
金額の根拠は、訪問のときに成約事例などを使って説明します。

Q訪問査定を断られた売主に、もう一度提案してもいい?

同じ電話の中では、訪問はもう提案しません。
同じ電話で何度もすすめると、売主は電話に出なくなります。
代わりに電話相談など訪問より小さい一歩を案内するか、査定結果を見たあとの電話を約束して、次の機会に回します。

訪問を迷う売主には、LINEで相談の入口を

ここまでの切り返しは、電話とメールでのやりとりが前提です。ただ、電話はその場で返事を求められるため、訪問を迷っている売主ほど「また今度」で終わりがちです。

LINEなら、売主は自分の都合のよいときに、査定結果を見返したり気になる点を送ったりできます。

ALL GRITは、LINEで売主を追客できる不動産会社向けのツールです。電話相談・来店相談・訪問査定など、売主が選びやすい相談の入口をLINE上に用意できます。
訪問をすぐに決められない売主も、自分のペースで次の一歩に進みやすくなります。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年10月19日