査定反響への初回電話は、訪問査定のアポを取ることをゴールに、「あいさつ→ヒアリング→訪問の提案→日程の確定→次の連絡の予告」の5ステップで話します。そのままトークスクリプトにできる会話例と、売主の返答ごとの切り返しをまとめました。各ステップの話し始めの一言は下の表のとおりです。
| ステップ | 目安時間 | 目的 | 話し始めの一言 |
|---|---|---|---|
| ①あいさつ | 30秒 | 話を聞いてもらう | 「いま2〜3分ほどよろしいでしょうか?」 |
| ②ヒアリング | 1〜2分 | 売却理由・時期・物件の状態を知る | 「ご売却を考えられたきっかけを伺っても?」 |
| ③訪問の提案 | 30秒 | 訪問が必要な理由を伝える | 「一度拝見して、根拠をそろえてご説明したいです」 |
| ④日程の確定 | 30秒 | アポを決める | 「土曜と日曜でしたら、どちらがよろしいですか?」 |
| ⑤次の連絡の予告 | 30秒 | 次につなげる | 「査定結果は本日中にメールでお送りします」 |
初回電話はどんな流れで話せばいい?
上の5ステップを、3〜5分で話し切ります。
初回電話のゴールは訪問査定のアポだけに絞り、査定額の説明や売り方の提案は訪問の場に回します。
ゴールは「訪問査定のアポ」だけに絞る
電話で査定額まで話し切ると、売主にとって会う理由がなくなります。
電話では「現地を見ないとわからないこと」があると伝え、訪問につなげることに集中します。
ある架電代行会社の集計では、一括査定の反響4,086件のうち、電話がつながったのは2,460件でした。
そのうち訪問査定につながったのは924件(37.6%)です。
前月の8月度も、電話がつながった2,450件のうち、訪問査定につながったのは846件(34.5%)でした。
どちらの月も、つながった売主の6割以上が訪問査定に至っていません。つながった後の会話の流れが、アポの数を左右すると考えられます。
(引用元:ミカタ株式会社「一括査定サイト媒体別の通電率・訪問査定率レポート 2026年8月度・9月度」)
5つのステップをトークスクリプトの「型」にする
トークスクリプトで固定するのは、5つのステップの順番と、各ステップの最初の一言です。
言い回しまで決めすぎると、読み上げているように聞こえます。
反響対応の流れ全体は「不動産売却の反響対応マニュアル」で解説しています。
初回電話以外の場面の話し始めは「不動産営業のトークスクリプト集」にまとめています。
アポを逃しやすい聞き方と、その言い換え
初回電話の場面ごとに、NGな聞き方と言い換えをまとめました。
| 場面 | NGな聞き方 | OKな聞き方 | OKな理由 |
|---|---|---|---|
| 「今は忙しい」と言われた | 「また改めます」 | かけ直す時間を2択で聞く | 次の電話の時間が決まる |
| 訪問を提案する | 「訪問査定はいかがでしょうか?」 | 室内の状態で金額が変わると伝える | 会う理由が先に伝わる |
| 日程を決める | 「いつがよろしいですか?」 | 候補日を2択で示す | 話が「いつ会うか」に進む |
| 査定額を聞かれた | 電話で金額まで話し切る | 幅を持たせて伝え、訪問につなげる | 訪問する理由が残る |
| 電話を切る | 次の連絡を決めずに切る | 次の電話の日を2択で決める | 追客の電話がかけやすくなる |
冒頭30秒は何と言えばいい?
会社名と名前、依頼へのお礼、時間をもらう一言の3つだけを伝えます。
売主が忙しそうなら、その場で話し続けず、かけ直す時間を決めます。
基本のあいさつ
営業:〇〇不動産の〇〇と申します。このたびはご査定のご依頼ありがとうございます。いま2〜3分ほどよろしいでしょうか?
売主:はい、大丈夫です。
営業:ありがとうございます。正確な査定のために、いくつか伺わせてください。
「今は忙しい」と言われたとき
売主:今ちょっと手が離せなくて……
営業:失礼しました。本日の夕方と明日の午前でしたら、どちらがご都合よろしいですか?
売主:明日の午前なら。
営業:では、明日の10時ごろにおかけします。〇〇不動産の〇〇でした。
「また改めます」で切ると、次の電話がつながりにくくなります。
かけ直す時間を、その場で決めておきます。
「他の会社からも電話が来ている」と言われたとき
売主:さっきから何社も電話が来ていて……
営業:たくさんお電話が来て大変ですよね。手短に、2つだけ伺わせてください。
ヒアリングでは何をどの順番で聞けばいい?
売却理由→希望時期→物件の状態の順に聞きます。
物件の状態を聞くと「現地を見ないとわからない点」が出てくるので、そのまま訪問の話につなげられます。
売却理由を聞く
営業:差し支えなければ、ご売却を考えられたきっかけを伺ってもよろしいですか?
売主:子どもが独立したので、小さい家に住み替えようかと。
営業:そうでしたか。住み替え先は、もうお決まりですか?
希望時期を聞く
売主:まだ探しているところです。
営業:では、売却と購入の時期を合わせる必要がありますね。いつごろまでに売却したいなど、ご希望はありますか?
売主:年内には決めたいです。
物件の状態を聞く
営業:ありがとうございます。ちなみに、リフォームされた箇所はございますか?
売主:5年前にキッチンを替えました。
聞く項目の一覧は「見込み客ランク分け」も参考にしてください。
訪問査定のアポはどう切り出せばいい?
「室内の状態で金額が変わる」ことを理由にして、訪問を提案します。
日程は「いつがいいですか」と聞かず、2つの候補から選んでもらいます。
訪問の理由と候補日を続けて伝える
営業:キッチンの状態や日当たりで、金額が変わることがあります。一度拝見して、根拠をそろえてご説明させていただきたいのですが、今週の土曜と日曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?
売主:日曜なら大丈夫です。
訪問するかどうかを聞かずに、そのまま候補日の2択に進みます。
「いかがでしょうか」と聞くと、売主は会うかどうかから考え直し、「また連絡します」で終わりやすくなります。
時間帯も2択で決める
営業:ありがとうございます。日曜の午前と午後では、どちらがよろしいですか?
売主:午後でお願いします。
日程が決まったあとの確認
営業:では、日曜の14時に伺います。お部屋を拝見して、査定結果と売却の進め方をご説明するまで、全体で1時間ほどです。
営業:もしお手元にあれば、購入時の資料をご用意いただけると、より正確にお出しできます。
所要時間を伝えると、売主が安心して当日を迎えられます。
売主が前向きでないときはどう返せばいい?
まず相手の希望を受け止めてから、訪問のメリットを一言だけ伝えます。
押し切ろうとせず、次に連絡するきっかけを残すことを優先します。
| 売主の返答 | 最初の返し | 次の一手 |
|---|---|---|
| 机上査定だけでいい | 「承知しました。まずは結果をお送りします」 | 訪問のメリットを一言だけ伝える |
| まだ決めていない | 「その段階でのご相談がほとんどです」 | その場で決めなくてよいと伝える |
| もう他社に頼んだ | 「比べる材料にしていただければ」 | 査定結果だけ送る約束をする |
「机上査定だけでいい」と言われたとき
売主:とりあえず、机上の査定だけで大丈夫です。
営業:承知しました。まずは周辺の相場データをもとにした査定結果をお送りします。室内の状態で金額が変わることもあるので、正確な金額が必要になったらいつでもお声がけください。
「まだ売るか決めていない」と言われたとき
売主:まだ売るかどうか決めていないんです。
営業:まだ決めていない段階でご相談いただく方がほとんどです。訪問しても、その場で決めていただく必要はありません。
営業:今の相場と売り方の選択肢のご説明は30分ほどです。お部屋の拝見を含めても1時間ほどで終わります。今週の土曜と日曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?
「もう他の会社に頼んだ」と言われたとき
売主:もう別の会社さんにお願いしようかと思っていて。
営業:そうでしたか。比べる材料として、当社の査定結果だけでもお送りしてよろしいですか?
電話を切る前に何を伝えておけばいい?
査定結果をどの手段で送るかと、次にいつ連絡するかを必ず伝えます。
次の約束があれば、アポが取れなかった場合も、追客の電話がかけやすくなります。
査定結果の送り方を予告する
営業:査定結果は、本日中にメールでお送りします。〇〇不動産の名前で届きますので、ご確認ください。
送り元の名前を伝えておくと、売主がメールを見落としにくくなります。
次の連絡の約束をする
営業:結果をご覧いただいたころに、一度お電話します。来週の火曜と水曜でしたら、どちらがご都合よろしいですか?
先ほどの架電代行会社の集計では、対応した4,086件で、1件あたり平均6.85回電話をかけていました。
次の電話を約束しておけば、かけ直す回数を減らせます。
(引用元:ミカタ株式会社「一括査定サイト媒体別の通電率・訪問査定率レポート 2026年9月度」)
よくある質問
Q査定反響への初回電話は、何分くらい話せばいいですか?
3〜5分が目安です。
ヒアリングと訪問の提案までを短くまとめるほうが、売主の負担になりません。
Q初回電話で査定額を聞かれたら、答えたほうがいいですか?
机上査定の結果があれば、幅を持たせて伝えます。
そのうえで「室内を拝見すると、より正確な金額をお出しできます」と、訪問の理由につなげます。
Q初回電話がつながらなかったら、どうすればいいですか?
SMSで用件を送ってから、時間帯を変えてかけ直します。
SMSには「査定結果のご案内でお電話しました」と、相手にとっての用件を書いておきます。
アポにならなかった売主には、LINEで次の一歩を
初回電話のトークは、その場で日程を決めることがゴールです。ただ、電話で決めきれなかった売主や、電話に出ない売主も一定数います。
LINEなら、売主は自分の都合のよいときに、査定結果を見返したり気になる点を送ったりできます。
ALL GRITは、LINEで売主を追客できる不動産会社向けのツールです。電話でアポにならなかった売主とも、LINEで相談や予約の入口を残せるため、その分訪問査定のアポにつながる機会を増やせます。
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執筆者 河野 清博 ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO 最終更新日:2026年10月15日 |

