査定反響の電話で、売主に「売るのはまだ先です」と言われることがあります。そのときは、その場で訪問をすすめず、売却時期の目安と次に連絡する時期を決めます。そのあとの電話は、相場の動きなど売主に役立つ情報を用件にします。売主が反応を見せたときは、その関心から話し始め、候補日の2択で訪問査定を提案します。場面ごとの話し始めの一言は下の表のとおりです。

場面 ゴール 話し始めの一言
「まだ先」と言われた 売却時期を聞き、次の連絡時期を伝える 「ご売却は、いつごろをお考えですか?」
時間をあけた電話 役に立つ情報を届ける 「近くで成約があったので、ご報告です」
予定の時期が近づいた 売却の準備を一緒に始める 「春ごろとおっしゃっていたので、ご連絡しました」
反応があった 関心の中身を聞き、訪問を提案する 「査定結果で、気になる点はございましたか?」
長く連絡が取れていない 近況を聞く 「その後のご予定を、念のため伺えればと思いまして」

「まだ先」と言われたら、その場で何を聞けばいい?

その場で訪問をすすめず、売却時期の目安と、次に連絡する時期を聞きます。
時期がわかれば、いつ・どんな用件で電話すればよいかが決まります。

売却を決めるまでに時間がかかる人は多い

不動産の所有経験者342人に聞いた民間の調査で、売却経験者(26.9%)に決断までの期間を聞いたところ、3か月以上かかった人は合わせて53.3%でした。
1年以上かかった人も、18.5%いました。
一方で、46.8%は3か月未満で決断しています。

(引用元:株式会社NEXERと不動産売却・無料査定の株式会社EverGreenによる調査「不動産売却のきっかけと動機に関するアンケート」2026年)

回答者は、査定を依頼した売主に限りません。それでも「まだ先」は断りではなく、検討の途中と受け取ります。
ただ、半数近くは3か月未満で決めているので、気持ちが動いたときにすぐ応えられる準備もしておきます。

売却時期の目安を聞く

売主:売るのはまだ先だと思います。
営業:承知しました。ご売却は、半年以内と1年以上先でしたら、どちらに近いですか?
売主:来年の春くらいですかね。
営業:ありがとうございます。差し支えなければ、春ごろを考えていらっしゃる理由を伺ってもよろしいですか?

「いつごろですか?」と聞くより、2つの候補から選んでもらうほうが、売主は答えに迷いません。
理由まで聞けると、次の電話の用件が決まります。

初回電話で売却時期を聞く流れは「不動産営業トークスクリプト【初回電話編】査定反響からのアポ獲得」、
ほかの場面の話し始めは「不動産営業のトークスクリプト集」で紹介しています。

次に連絡する時期を決める

営業:承知しました。春ごろとのことなので、年明けごろに一度、相場のご報告でご連絡しますね。
営業:それまでにご予定が変わったら、いつでもお知らせください。

次に連絡する時期と用件を先に伝えておくと、その電話は売り込みではなく「予告していた電話」になります。

「まだ先」の売主を逃しやすい対応

場面 NGな対応 OKな対応 OKな理由
「まだ先」と言われた 「今が売りどきです」と急がせる 売却時期の目安を聞く 売主の予定を尊重できる
電話を切る 「また連絡します」とだけ言う 次の連絡時期と用件を伝える 次の電話が予告どおりになる
時間をあけて電話する 「その後いかがですか?」だけ 役に立つ情報を用件にする 電話に出る理由ができる
反応があった すぐに訪問をすすめる 気になった点を先に聞く 売主の関心から話を進められる

時間をあけて電話するときは、何を用件にすればいい?

近くの成約や相場の動きなど、売主の物件に関係する情報を用件にします。
売主が「聞いてよかった」と思える用件があれば、電話に出てもらいやすくなります。

近くで成約があったときの電話

営業:〇〇不動産の〇〇です。以前ご査定いただいたエリアで、最近似た広さのお部屋が成約したので、ご報告でお電話しました。
売主:そうなんですか。いくらくらいで?
営業:〇〇万円ほどでした。ご自宅の相場の目安にもなりますので、詳しい内容はメールでもお送りしますね。

売主が金額に関心を示したら、無理に訪問をすすめず、まず情報を送ります。

予定の時期が近づいたときの電話

営業:〇〇不動産の〇〇です。以前、春ごろのご売却をお考えとおっしゃっていたので、ご連絡しました。
営業:春に売り出す場合は、年明けから準備を始めると余裕があります。一度、今の相場をご説明させていただきたいのですが、例えば今月の土曜日か日曜日でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

時期が近づいたら、準備の段取りを用件にして訪問を提案します。

売主が反応を見せたら、どう電話すればいい?

メールのリンクを開いた、返信が来たなどの反応は、売主の関心が高まっているサインです。
反応があったら早めに電話し、売主の関心から話し始めます。

反応があったときは、すぐに次の一歩を

当社が追客を支援した事例では、査定結果を確認した売主が、翌朝に売却理由のアンケートに答えました。
その約2分後には、自分から訪問査定を申し込んでいます。

(引用元:ギバーテイクオール株式会社「成果事例集」2026年10月版)

関心が高まったその場で申し込める入口があれば、訪問査定まで一気に進めます。

査定結果を見返した売主への電話

営業:〇〇不動産の〇〇です。先日お送りした査定結果について、気になる点はございましたか?
売主:思っていたより高くて、少し考え始めました。
営業:そうでしたか。実際の金額は、お部屋の状態でも変わります。一度拝見して、根拠をそろえてご説明させていただきたいのですが、例えば今週の土曜日か日曜日でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

長く連絡が取れていない売主には、何と言えばいい?

近況を聞くだけの、短い電話にします。
売却の予定が変わっていれば、その場で次の一歩を提案します。

近況を聞く電話

営業:〇〇不動産の〇〇です。以前ご査定いただいた件で、その後のご予定を念のため伺えればと思いまして。
売主:そういえば、そろそろ考えようかと思っていたところです。
営業:ちょうどよかったです。今の相場は、以前の査定のときから変わっている可能性があります。一度拝見させていただきたいのですが、いかがでしょうか?例えば来週の土曜日か日曜日でしたら、空きがございます。

久しぶりの連絡では、候補日の2択で迫らず、まず訪問してよいか相手の意向を聞きます。
そのうえで空いている日を伝えれば、売主は都合を答えるだけで済みます。

「もう売りました」「他社に頼みました」と言われたとき

売主:実は、もう別の会社さんにお願いしていて。
営業:そうでしたか。教えていただきありがとうございます。また何かございましたら、いつでもご相談ください。

他社に決まっていても、丁寧に電話を終えます。
次の住み替えや、知り合いの売却の相談につながることがあります。

休眠客の掘り起こし方は「不動産会社の休眠顧客を掘り起こす方法」も参考にしてください。

追客の電話を担当者ごとにばらつかせないには?

売主ごとに「売却時期・理由・次の連絡日・前回の用件」を記録し、チームで共有します。
記録があれば、担当者が変わっても、前回の続きから話せます。

売主ごとに残しておく情報

記録する項目 例 次の電話での使い方
売却時期の目安 来年の春ごろ 「春ごろとおっしゃっていたので」
売却の理由 住み替え 住み替え先の探し方の話題にする
次の連絡日 年明け 伝えておいた時期に電話する
前回の用件 近くの成約のご報告 同じ用件を繰り返さない

売主の見込みの分け方は「不動産売却の見込み客ランク分け」で解説しています。

電話の用件を前もって用意しておく

電話の用件は、チームで一覧にしておきます。
用件の一覧があれば、経験の浅い担当者でも「何の電話か」が伝わる追客ができます。

用件 使える場面 話し始めの一言
近くの成約・新しい売り出し いつでも(定番の用件) 「近くで似た広さのお部屋が成約したので、ご報告です」
相場の動き 前回の査定から時間がたったとき 「前回の査定から時間がたったので、今の相場をご報告します」
売り出しの準備の段取り 売主が話していた時期が近づいたとき 「春ごろとおっしゃっていたので、準備の進め方をご案内します」

よくある質問

Q「まだ先」の売主には、どのくらいの間隔で連絡すればいいですか?

売主が答えた売却時期の目安で決めます。
当社の支援経験では、半年〜1年以内なら2週に1回、時期が未定なら月1回が目安です(電話・メールなど全手段の合計)。
売却時期が3か月以内に近づいたら、週1〜2回に増やします。
電話は節目に絞り、そのあいだはメールで情報を送ります。

手段ごとの目安は「不動産売却の追客頻度」で解説しています。

Q不動産の追客電話で、毎回訪問をすすめてもいいですか?

毎回すすめると、売主は電話に出なくなります。
訪問を提案するのは、売主が反応を見せたときや、予定の時期が近づいたときに絞ります。

Q何度連絡しても反応がない売主は、追客をやめていいですか?

すぐにやめず、連絡の間隔をあけて続けます。
売却を決めるまでに1年以上かかる人もいるため、反応がないことが売却をやめた理由とは限りません。

「まだ先」の売主には、LINEで続けやすい追客を

ここまでの追客は、電話とメールが中心です。 ただ、時期がまだ先の売主にとって、何度もかかってくる電話は負担になることがあります。

LINEなら、売主は自分の都合のよいときにメッセージを読み、気になったときに返信や相談ができます。

ALL GRITは、LINEで売主を追客できる不動産会社向けのツールです。 あらかじめ決めた日数ごとに、売主へLINEでメッセージを自動で送れます。 売却時期が来たときに思い出してもらいやすくなり、訪問査定のアポにつながる機会を増やせます。

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河野清博

執筆者

河野 清博

ギバーテイクオール株式会社 代表取締役CEO

最終更新日:2026年10月20日